災害に備える

 新型コロナウイルス騒動がなんとなく沈静化しつつあるようですが、代わりに地震や風水害が発生してきそうな雰囲気です。
 新型コロナウイルス騒動でいろいろと足りない物資がありますが、それでも他の災害に備えて準備はしておいたほうがよさそうです。
 今回は災害に備えた準備について考えてみることにします。

1.耐震補強はできていますか

 日本は地震大国であり、戦後から高度成長期にかけてが異常なほど地震が起きなかった期間であることはあまり知られてないのかなと思います。
 その時代に建てられた建物は、地震に耐えられる作りになっているかどうかわかりませんから、お住まいのおうちが最近建てられたものでないのならば、耐震診断と耐震補強をすることをお勧めします。
 寝てる時間だろうがトイレに入っている時間だろうが、地震はお構いなしにやってきます。耐震補強をすることが困難であるなら、せめて寝室は布団以外の家具は撤去してものに潰されないようにしておきましょう。

2.避難先を確認していますか

 建物が倒壊したときや余震が続くときなどは自宅での避難が困難な場合があります。そんなとき、どこへ避難するかについて複数箇所候補をあげておいてください。
 避難先は別に行政が指定する避難所や避難場所である必要はありません。自分の安全が確保されるのであれば、親戚や友人の家でもいいし、近くの公園や高台、裏山でもかまいません。また、自動車をシェルターとして使えるかどうかも検討をしてみてください。ただ、地震や津波では大規模火災が起きる可能性もありますので、周辺を住宅で囲まれた場所や燃えるものに囲まれた場所は避難先として選ばない方が無難だと思います。また、避難経路を複数準備しておいて、いざというときに慌てなくて済むようにしておきましょう。

3.非常用持ち出し袋はできていますか

 非常用持ち出し袋は発災から支援が届き始めるまでの数日間、地震の身体的・精神的な健康を維持するために必要なものを入れた大切な袋です。
 家族全員に一つずつ作っておくのはもちろんですが、できれば複数箇所に分けて保管しておくと全滅で悲しい思いをすることを避けることができます。もし全部無事であるなら気持ちに余裕ができますので、例えば倉庫や車の中、あるいは職場のロッカーなど、いくつかの場所にそれぞれ備えておくと安心です。
 非常用持ち出し袋をすでに準備している人は、電池や非常食、水の賞味期限を確認し、問題があれば交換したりして、いざというときにきちんと使えるようにしておきましょう。

4.家族の中で「まず自分の身を守ること」を共通化していますか

 災害が起きた後、一番怖いのは自分以外の誰かを迎えに行ったり、あるいは誰かが迎えに来るのを待っていて時間を浪費することです。
 家族の共通ルールとして「災害が起きたらまずは自分の身の安全を確保すること」を確認しておいてください。命があれば必ず再開はできます。災害からの安全が確認できたら家族はどこへ集まるのか。底まで決めておければ完璧です。

 災害は必ず起こります。いつ起きるかわからないだけで防ぐことも難しいですので、日頃からしっかりと準備をしていざというときに命を守れるようにしておきたいものですね。

安全と安心

 ここ最近「安全、安心な○○」という表現をよく耳にしますが、この「安全」と「安心」の違いはなんでしょうか。
 ウェブ上の辞典で調べてみると「安全」は「危険がなく安心なこと。傷病などの生命にかかわる心配、物の盗難・破損などの心配のないこと。また、そのさま。(goo辞書から抜粋)」だそうです。
 「安心」はというと、「気にかかることがなく心が落ち着いていること。また、そのさま。(goo辞書から抜粋)」となっています。
 つまり、「安全」は「何らかの具体的な危険や心配が無い状態」、安心は「自分が気になることが無い状態」ということで、安全は客観的な指標ががあるが、安心は個人の主観と考えることができると思います。
 そのため「物理的な安全と精神的な安心」をくっつけた「安全・安心な○○」というのが登場してきたのだと思います。
 しかし、災害対策で考えるときには少しだけ問題があって「安全な状態」は具体的に目で見える状態で証明することができますが、「安心な状態」は自分自身の気持ち一つなので、本人が納得しない限りは安心な状態にならないというところがあります。
 つまり客観的には安全であっても、どうしようとかもう駄目だと考えている限りは安心な状態ではないということになのです。
そしてさらに面倒くさいことには、存在するものはなんらかの形で証明できても、存在しないことを証明することはかなり困難だということです。例えば地震が起きたことは証明できても、地震が起きないということは誰にも証明ができないでしょう。そして、多くの方は地震が起きないという証明を誰かにしたがってもらっているのです。
 起きないことや発生しないことを証明することはかなり難しいですから、安心を獲得しようと思えばいざというときの備えをどこまで準備できるのかということになります。大規模な災害になると、労働環境の変化や生活の再建費などお金の心配は必ず出てきますが、これはある程度自分でコントロールできる部分でもあります。
 安心の逆は不安ということで、災害の後は多くの人は不安に陥ってしまうものですが、普段からいろいろと備えておくことで、ちょっとでも安心な精神状態を確保できるようにしたいですね。

災害に対応する損害保険に入っていますか

雲仙普賢岳の噴火で土石流に埋まった一般家屋。これを補償する保険は・・・?

 建物や家財が被災したときには、自治体からそれぞれ被害程度に応じた見舞金が出されます。
 ただ、実際のところ手続きに時間がかかるのと金額も微々たるもののため、生活再建を行うのに非常に大変な苦労をすることになります。
 自己資産に余裕がある方は別として、そうでない場合には被災した建物や家財に対して支払われる損害保険をかけておくことをお勧めします。

1.災害に対応する損害保険

 災害で受けられる建物や家財に対する損害保険は発生する災害によって異なりますので注意が必要です。
 基本的には「火災保険」がベースになり、これに水害対応をつけると住宅総合保険となります。「地震保険」は火災保険が契約されていないと契約をすることができないので、火災保険のオプションのような性格を持っています。
 地震保険では、地震によって発生した火災、家屋倒壊または家屋埋没、噴火による家屋損壊、津波による家屋流出が補償されることになっています。
 ここで気をつけないといけないのは、火災保険では地震による火災での焼失は補償されないということで、火災保険に入っているから安心ではないことに注意してください。

2.見舞金と保険金の違い

 自治体からの見舞金は、基本的には「全壊」「半壊」に対するもので、被災度判定調査によって決められた判定により支払われるものです。市町村によっては、被災者に対して支払うこともあるようですが、どちらにしてもあなた自身の事情や状況は考慮されないことに注意してください。
 損害保険は、加入する保険会社や保険の種類、お住まいの地域などの条件によってさまざまですが、大きく分けると今現在の価値の金額を補償する「現存価格補償」と、被災した建物や家財を再調達するための費用を補償する「再調達価格補償」があります。
当然、条件がよい保険ほど掛け金も上がりますので、あなたの状況やあなた自身のBCPにより保険をかけるようにしてください。

3.もし被災したら

 生活再建にはすぐにでもお金が必要となりますが、基本的には保険会社の調査員が現地を確認し、その損害状況を判定した上で支払うべき保険金を算定することになります。
 ただ、大規模な災害だったり、すぐに解体しないと危険な場合などには調査員の調査が間に合わない場合があります。そのため、保険会社に連絡して承諾を得ることができれば、写真を撮って現地調査に変えることができることがあります。自治体の被災度判定などにも使えますので、被災した場合には被災した家屋や家財など被災したものをあらゆる角度から撮影しておくことをお勧めします。
 また、保険金の算出後はかなり早く支給がされるようですが、これも保険会社によって異なりますので、万が一の時には保険会社に相談することをお勧めします。

4.災害に備えて

 火災保険や地震保険をかけていても、被災した後で速やかな手続きをとるためには保険をかけている保険会社や保険の証券番号があった方がよいので、あなたのパーソナルカードの中にそれらの情報を追加しておいてもいいかもしれません。
 また、大規模災害などでは損害保険協会に照会するとあなた自身がかけている保険会社や保険の証券番号を調べてもらうこともできますので、提供される情報に注意をしておいてください。

 なお、今回記載した損害保険についてもう少し詳しいことが知りたい方は、日本損害保険協会のウェブサイトをご一読ください。

損害保険とは?」(一般社団法人日本損害保険協会のウェブサイトへ移動します)

正常性バイアスの功罪

 車の運転免許を持っている方は、免許を取得する過程や更新講習などで「『だろう』ではなく『かもしれない』運転をしてください」と言われていると思います。
 「大丈夫だろう」ではなく、「何かあるかもしれない」と考えて安全に運転するという意味なのですが、災害対策でも同じことが言えます。
 同じことが繰り返されると、人間の行動は「それまでと同じ」という前提で考えてしまいがちです。これは正常性バイアスの一つで、考えることを減らすために無意識にパターン化している自分の中の事実に当てはめて考えてしまうことなのですが、災害時にはこの正常性バイアスを打ち破ることができるかどうかが生き残ることのできる鍵となっていることに留意してください。

 何か起きたとき、人は自分のそれまでの生活や行動を変えようとせず、その状況の中から普段と同じものを見つけ出そうとします。また、行動を変えないで済む理由をいくつも作り出そうとします。
 それが正常性バイアスと言われるもので、この正常性バイアスのおかげであまり考えずに普段の生活を送ることができるのですが、これが度を過ぎると非常事態なのに常時のルールで判断しようとして危機的な状況を生み出してしまいます。
 常時と非常時を切り分けることは、実は非常に困難な作業です。どこまでが常時でどこからが非常時なのかは、その人ごとに違うからです。
 ですが、非常時にどうするかを決めておかないと、正常性バイアスによって非常時が常時の延長にされてしまう可能性は非常に高くなります。
 切り替えるためのスイッチと切り替え後の行動をどうするのかを決めておくことで、正常性バイアスから逃れて身を守ることが可能になりますので、自分の中の常時と非常時の線引きについてきちんとしておくことをお勧めします。

行動パターンを正しくはめる

 災害が起きそうなとき、自分の命を守るために避難をすることがありますが、一つ気を付けておきたいことがあります。
 それは、「行動パターンを正しくはめておく」ということです。
 例えば、水害で川から水が越水しそうな状況を考えてみてください。住んでいる家が低地であれば水没する可能性は高いですから、直ちに避難を開始する必要性があるでしょう。では、どこへ避難するのか。答えは「安全を確保できる高いところ」です。多くの人は近くの避難所への避難を選択すると思うのですが、「避難=避難所」ではないことに注意してください。
 漫然と「避難=避難所」と考えている人の場合、避難先の避難所が安全かどうかの検討はしていない場合がほとんどです。最近では避難所にその避難所がどのような災害なら安全かについて表示されているところも増えてきましたが、この表示はハザードマップの情報を前提にしてされていますから、それが常に正しいとは限りません。ハザードマップの想定を超えていれば、当然被災する可能性があるということは意識しておくべきです。

吉賀町の避難所所の一つ、吉賀高校体育館にある避難所表示。土石流と崖崩れ・地すべりの時には使えないことがわかる仕組み。この適応表はハザードマップがベースになっていることに留意。

 東日本大震災で多くの教員や生徒が犠牲になったとある小学校では、その小学校が避難所になっていてハザードマップでは津波でも水没しないとされていたことから、避難所を開設するしないで揉めているうちにみんな津波に飲まれてしまったという話(詳しくはwikipedia「石巻市立大川小学校」を参照)もあります。今いる場所に危険が迫っていて避難するときに必要な行動パターンは「避難所へ避難する」のではなく、「安全な場所へ避難する」です。
 緊急時にはどこへ避難するかを時間はありません。
 水害でも津波でも、より高い場所へ避難してあなたの安全を確保すること。結果的にその場所が無事だったとしても、高台に逃げてはいけない理由は何もないのです。
 同じように、避難しなくてはいけない災害が起きたときには、どのようにすれば自分の安全を確保できるのかについての行動パターンを作っておいてくださいね。

ローリングストックと賞味期限

アルファ米いろいろ
非常食は自分にあったものを選びましょう

 一般に防災食や非常食と言われる食品は賞味期限が最低でも1年以上長いものだと20年などというものまであり、自治体の備蓄としてそれなりの数が保管されています。
 ただ、これら非常食の備蓄を普通のご家庭でやろうとすると、ネックになるのが調達先とお値段と保管。最近はインターネットの普及や防災意識の高まりからそれなりに買えるようになりましたが、単価はやはり高く、そして普段使いのものと比較すると味も少しだけ劣るかなというものが多いです。
 例えば、アルファ米は1人前1食が約300円しますが、3食で900円程度。無洗米なら2kgで約1,000円で、1人で食べるなら3食1週間は持つと思うので、単価としてはアルファ米はかなり割高になると思います。
 また、レトルト食品も常温保存できる普通のものは約1年なのに対して防災用のレトルト食品は3年から5年は保存できますが単価は倍近く違います。
 費用対効果で考えるのであれば、普段食べているものを少しだけ多めに調達しておいたほうが効率がいいという結果になってきます。
 また、保管期限が長くなると、おうちでの管理が忘れられてしまうという危険性があります。賞味期限が長いと安心してしまって、非常用持ち出し袋の中で押し入れの奥にしまい込まれて忘れられてしまい、結果として全部駄目になるということが本当によくあります。

 防災食や非常食はその性格上軽く、持ち運びしやすく、そして保管しやすいという特性があります。妙ないい方ですが、一食二食であれば食べるのにわくわく感もあって楽しめるかもしれないのですが、普通のおうちで考えたとき、そういった非常食だけで被災後の食事を補うという考え方は止めた方が無難です。

 被災時に普段と変わらないものを普段通り食べることができるというのは心身の平穏にとって非常に優れた効果をもたらしますから、家庭での備蓄は普段使っているものを少し多めに調達して使ったら補充するというローリングストック法がお財布にも心身にもやさしいということになります。


 昨今の新型コロナウイルスでは、マスメディアによる「○○が足りない」という報道が出るたびに全国的にその「○○」が不足して買えなくなり、インターネットではとんでもない金額で売られていたりすることも日常茶飯事となってきました。
 最近ではホットケーキミックスやパスタ、パスタソースや袋麺などが手に入りにくくなっていますが、本当は何も無いときにこそ少し多めに備蓄しておいて、いざというときに慌てて買い占めに走らないようにするのが理想です。
 目安は、以前は3日分、最近は1週間程度とされていますが、現在の新型コロナウイルス騒動を見ていると半月程度は備蓄しておいたほうがいいのかなとも感じます。

 とはいえ備蓄量については各ご家庭の保存能力や使用量によってかなり異なりますので、あなたのおうちでの備蓄可能場所と消費量を考えて準備をしてください。

 最後に、これは余談ですが都会にないからといって田舎のおじいちゃんおばあちゃんに不足している物資をおねだりすることもできれば止めて欲しいなと思います。田舎は元々物流量少なく供給量も少ないので、特定の物資が無くなった場合、供給は大消費地である都会地優先となるため、田舎への供給再開はかなり遅れるのが現実です。
 そうすると、本当にそれを必要としている人に物資が供給できません。都会には都会の物流、田舎には田舎の物流があることをご理解いただき、田舎からの物資はお米や野菜など田舎で生産しているものに限定していただけるといいなと思います。

地震の基準を確認しておこう

 最近また地震が増えているような気がします。地震が起きる理屈については以前触れたことがあるのですが、連日どこかで地面が揺れているというニュースが流れていますので、今回は地震の考え方をおさらいしておこうと思います。

1.震度とマグニチュード

 地震のニュースのときに必ず出てくるのがこの震度とマグニチュードです。
 ややこしい話は、筆者の能力では説明しきれないのでwikiなどで調べていただければと思うのですが、震源の地震のエネルギーを示すのがマグニチュードと言われるもので、これは一つの地震に一つしかありません。
 マグニチュードは1から10まで存在しますが、1段階が上がるごとに強さが約32倍増えます。そのため、マグニチュード1とマグニチュード3ではその強さに約千倍の差があることになります。
 地球上で記録されているもっとも強い地震とされているのが1960年のチリ地震で、このときの数値はマグニチュード9.5と言われています。
 震度はそれに伴う揺れを表すもので、現在は計測震度計により記録された数値が公表されています。揺れを示すものなので、場所によって異なった揺れ方が起き、人によってはお住まいの地域の震度を見て「そんなに弱かったの?」とか「そんなに揺れたかな?」と首を傾げることもよくおきます。
 震度1から震度4、震度5と6はそれぞれ「強・弱」が存在し、もっとも強いのが震度7となっています。

マグニチュードとは(ウィキペディアの該当ページに飛びます)

震度とは(気象庁のウェブサイトに飛びます)

震源と震度を示す図の一例。震源は一カ所だか、震度は地域によって異なっていることが分かる。

2.緊急地震速報を知っておこう

 最大予測震度が3以上の時に、緊急地震速報が発表されます。
 これは地震発生時に地震波の伝わる速度の差を利用して発表されるもので、震源がある程度離れている場合には有効です。
 ただ、速報を出す方法上、直下型や震源に近い場所では、揺れ始めてから緊急地震速報が出ることもあります。
 発信される警報音はスマホやテレビ、ラジオにより異なりますので、自分の使っている機器の出す警報音を知って、鳴ったらすぐに安全を確保する行動を取るようにしてください。

緊急地震速報のしくみ(気象庁のウェブサイトへ飛びます)

3.地震では身の安全の確保を最優先する

 妙ないい方になりますが、地震そのもので死ぬ人はほとんどいません。
 亡くなる方は、地震によって倒壊した建物やものの下敷きになったりする場合が殆どです。
 そのため、建物が揺れで倒壊しないようにすることや、安全な場所の確保、そして何よりも自分が怪我をしないように安全を確保するための行動をとれるかどうかが大切になります。
 地震時の安全確保の方法は、いろいろな人がいろいろなことを言っていますが、あなたがいる場所や条件によって正解が変わりますので、さまざまな安全確保の方法を知って、その中から最適な方法を瞬時にとることができるようにしておくことが大切です。
 起震車や起震装置による体感とそれに伴う安全確保の訓練もしっかりとしておく必要があります。
 地震であなたの命を守るのは、あなたしかいないことをしっかりと理解して、機会を見つけて準備をしておくことをお勧めします。

避難所へ避難するための判断基準

 「被災しそう、または被災したら避難所へ避難する」というのが災害対策ではよく言われますが、自治体が作っている避難所の圏域人口と収容人員にかなりの開きがあることをご存じですか。
 自治体の作る地域防災計画では、避難所は自宅が倒壊したりひどい損傷を受けて生活の場にすることができない、または他所から来て帰宅できるまで生活できる拠点がないという人を収容する想定で考えられています。
 そのため、台風や水害などあらかじめ避難する場合を除いては「在宅避難」が前提とされています。家屋の耐震補強が勧められているのも、地震で家屋がつぶれないようにすることで生活者の命を守ること、そして在宅避難ができる環境を維持することが目的と考えることができます。
 そう考えると、地震で被災したときには2段階で避難所へ避難をするかどうかの検討をする必要があります。

1.家屋の危険度を見極める

 家屋本体にどのような損害が出ているのかを確認します。
 次に周辺家屋が自分の家屋に被害を与えないか、火災・液状化現象・津波などの二次災害が起きていないかを確認します。

以上の確認をして、とりあえず建物が余震に耐えられそうかどうかを確認します。
本格的な被災状況の確認は自治体が実施する「応急危険度判定」に任せるとして、とりあえずは目で見て問題がなさそうなら次の確認を行います。

2.生活できるかを確認する

 自分の家屋の内部が生活可能かを確認します。他人の支援が必要な人や健康に不安のある方は、自身の生活が維持できないと判断したら避難所へ避難します。
 片付ければ住めるのであれば、生活できる空間作りを優先し、在宅避難をするようにします。例えば窓ガラスが割れていて散乱しているようであれば、割れたガラスを片付けて、窓ガラス代わりのブルーシートなどを使うことで、居住空間を確保することは可能です。
 また、自宅が住めなくても納屋、テントを張れるような庭などがあれば、そこを居住空間にすることが可能です。

 避難所への避難は、被災者全員では無く、生活弱者や住む場所を失った人が行うようにします。そうしないと、避難所に人が収容しきれずに避難所としての機能が麻痺することになってしまいます。
 よく騒動の元になることなのですが、「避難所に避難しないと支援物資がもらえない」は誤りです。避難所は支援物資の拠点になっていますが、そこで物資を受け取ることができるのは、避難所への避難者だけではなく、在宅や避難所以外に避難している被災者全てです。
 このことは災害対策基本法にしっかりと明記されている(災害対策基本法第86条の7参照)のですが、自治体職員も含めて知らない人が多いので、避難所運営訓練などでは避難所への避難者以外も対象になることをしっかりと関係者で情報共有しておく必要があります。

 また、避難所へ避難する場合には、電気のブレーカーやガスや水道の元栓をしっかりと締め、できる限りの戸締まりをしっかりとしてから避難するようにしましょう。

避難所の運営は誰がする?

 災害が起きて避難所が設置されると、それからは避難所運営という仕事ができます。
 ただ、この避難所の運営については誰が行うのかが結構曖昧な状態で置き去りにされていて、避難所になった施設の職員や教員、行政の職員、自治会関係者、どうかすると「自分以外の誰か」という方までいらっしゃいます。
 避難所は、本来はその避難所に避難する対象となっている地元の自治会や自主防災組織が運営をすべきなのですが、残念ながら開設時に準備した人がそのまま運営に巻き込まれてしまうというのが実際のようです。
 ただ、施設の職員や学校の教職員、行政職員は本来は災害時、災害後にやらなければならない業務が山積していて、避難所の運営にかかわっている場合ではありません。
 例えば、熊本地震ではある市町村で職員が全て避難所運営に出払ってしまったために応急復旧や被災地支援、支援受け入れといった本来行政がやらなければならない業務が全て停止し、現地に応援で派遣された他所の行政職員によってその市町村の災害対応業務が行われることになり、さまざまなことが遅れに遅れる結果となりました。
 また、ある学校ではその地に転勤してきたばかりの教員が避難所運営に巻き込まれてしまい、何も分からないまま右往左往する羽目になりました。
 その地元をよく知っている人が運営の主体となり、施設職員や教員、行政職員はそれぞれの立場から運営を支援するという状態を作れていれば、それぞれが自分の得意な部分で復旧や支援に取り組むことができるようになります。
 また、地域を知っているからこそ避難所の機能である「避難者の受け入れ」と「被災地区の物資や情報支援」という業務を効率よく行うことができます。
 「自分たちは素人だから」とか「税金払ってるんだから行政がやればいい」というスタンスだと、いつまでも復旧が前に進まず、結果的に自分が苦しむ羽目になっていきます。
 避難所をきちんと運営するためには、避難所の訓練だけでなく、いろいろな組織や行政との連絡や段取りをつけ、それを的確に避難者や住民に伝える必要があります。
 防災訓練をするのであれば、そこまで踏み込んだ訓練を行って、いざというときにきちんと機能する避難所運営をしていきたいものですね。

照明を変えてみた

 緊急事態宣言が出されて外出自粛になっています。
 この際ですから、普段できないけれどやっておいた方がいいおうちのことをやってみてみようと思い立ち、家の天井照明の一つを交換してみることにしました。

 我が家の天井の照明です。和風ペンダントで吊り下げ式です。傘が固定できないのと、それなりの重さのある蛍光灯仕様なので、地震で激しく揺れると割れたり落ちたりしそうです。
 そこで、今回は天井に直付けできるタイプの照明をつけてみることにしました。
 その前に、絶対にしておかないといけないことが一つ。必ず交換する部屋の電源とブレーカーを落としておきましょう。これをしないと、交換中に感電したりショートしたりする可能性があります。

 和風ペンダントは電源コードで支えられているので、取り外したら照明用コンセントがむき出しになります。このコンセントの形状にはいくつかの種類がありますので、取り替えたいと思う照明器具のコンセントと一致しない場合には、建物側のコンセントを交換する必要があります。その作業は電気工事士の資格を持った方が必要だったと思いますので、それを交換する場合には電気屋さんに相談してみてください。
 形状が一緒なら、外したコンセントに新しい照明器具のコンセントを差し込んでひねって固定すれば交換完了です。

 天井直付けのLED照明に交換が完了しました。以前の和風ペンダントに比べて風情はありませんが、軽量で明るく、光の調整もしやすくなりました。リモコン式なので、寝る前に布団から出て照明を消す手間もなくなり、ちょっとだけ便利です。
 電源やコンセントを直接いじるのであればかなり難易度の高い交換作業ですが、照明機器の入れ替えだけならそんなに難しい作業ではありません。
 和風ペンダントの固定が難しいような場所や照明器具が古くなっている場合などには、新しいのと買ってきて入れ替えてみるのも気分が変わっていいものです。
 落下を防止する安全対策もできますので、該当する照明器具をお持ちの方は一度試してみてはいかがでしょうか。