奇妙なランタン

 先日とある百円均一ショップで面白いものを見つけました。

 商品名は「ベースライト」。ペットボトルの下に置くと、ペットボトルをランタンにしてくれる道具だそうです。
 単4電池3本で48時間連続点灯可能だそうなのですが、私が買った物はスイッチが甘く、offにしてもたまに点灯しているという不思議な状態になってます。
 これはどんな目的に使うのかよくわからなかったので一つ購入して考えていたのですが、ひょっとして災害対策商品なのかなと気がつきました。
 台風などで停電したとき、懐中電灯をランタンに変える道具としてペットボトルとの組み合わせがあったことを思い出したからです。
 ただ、あれはあくまでも懐中電灯しかなくてそれをランタンに変えるために急場しのぎでつくられたものであって、予め準備できるのであれば、こういう道具よりも素直にランタンを勝った方が早いし使い勝手もいいのではないかと考えてしまいました。

表面は鏡面加工がしてあって、水の反射を上手に利用できる加工がしてある。

 もっとも、これをジュースなどの色水でやってみたら面白そうではあります。
 どんな目的で作られたのかはよくわかりませんが、いろんなことを考える人がいるものだと感心してしまったので、ちょっと取り上げさせていただきました。

ベースライトを使ってできたランタン。それなりに明るい。

災害遺構を訪ねて13 石碑「昭和18年大水害死者菩提碑」

 益田市七尾町にある妙義寺は由緒あるお寺です。
 こちらのお寺の道路を挟んで反対側の敷地の一角に、「昭和18年大水害死者菩提碑」がひっそりとお祭りされています。


 菩提碑、といういい方はあまり馴染みがないのですが、菩提という言葉を調べてみると「死後の冥福」という意味があるそうなので、「昭和18年水害の死後の冥福を祈る碑」といった意味になると思われます。
 昭和18年水害は、戦時中と言うこともあってかあまり情報が見当たらないのですが、こういった碑があることを考えると、益田市一帯でそれなりの死者が出たのかなと考えられます。
 碑そのものには細かいことは書かれていなかったのでよくわかりませんでしたが、敷地はきれいに管理されていました。
敷地の形から考えると、元々は妙義寺の境内地なのかもしれません。
敷地内には益田兼堯像や行者が寄進したと思われるお地蔵様、喜捨により作られたと思われる天保年間の刻みのある石橋などがあり、ちょっとした公園のようにも感じました。
柵などはないので出入りは自由にできますが、住宅地の中ですので行かれる際にはお静かにお願いします。

避難所としての神社やお寺を考える

益田市高津町にある柿本神社から街を望む。かなり高い位置に建てられていることがわかる。地元の人達は過去の水害ではここに避難して難を逃れていたという。

 古来から神社やお寺は災害の際の避難所の役割を担ってきた施設です。
 最近でこそ公民館や学校と言った施設が避難所として割り当てられていますが、地域の人にとって身近な神社やお寺といった施設はみんなが知っていて安心して逃げ込める公共施設だったと言えるからです。
 そこで知っておいた方がいいなと思ったのが、古い神社は水害や津波からの避難所という性格を持っていたと言うことです。
 江戸中期以前の神社に関して言えば、このルールはほぼ間違いないのではないかと思っています。
 どこかへ旅行や出張などで出かける際には、避難所を確認することはもちろんですが、古い神社の位置も確認しておくといざというときに逃げ込む選択肢が増えると思います。
 お寺に関して言えば、このルールはあまり当てはまりません。なぜなら、江戸時代の統治の方法として寺社を利用していましたので、必然的にお寺は街場にできることが多くなりました。
 江戸時代以前から同じ場所にあるようなお寺であれば水害や津波からの避難所としての性格を持ち合わせているかもしれませんが、その確認はなかなか難しいのではないかと思っています。

益田市染羽町の天岩勝神社。水害浸水想定区域に入っているが、写真奥の本殿までは水が来ないと予測されている。

 もしも興味のある方は、古い神社や古いお寺の位置と水害や津波の想定区域、あるいは実際に被災した場所と突合してみてください。 少なくとも古い神社はこの条件にほぼ合致していると思います。
 ただ、都会地では公共事業に伴う移転などで元の位置から動いている神社も多くありますので、そこの部分については意識しておいてください。
 また、神社もお寺も境内地を間借りして避難させてもらうのですから、その場の所有者に対してだけでなく、お祭りされている神仏に対しても礼儀を忘れないようにしたいですね。

災害対策は適材適所で考える

 個人だと全部を自分でしなければ誰もやってくれませんが、施設や自治会、団体になるとそれなりに人がいますので、業務を分担すると言うことが可能です。
 災害対策にとって分業できるというのは非常に大切なことなのですが、分業するに当たっては担当する業務の向き不向きをしっかりと確認した上で割り当ててみてはいかがでしょうか。
 というのも、往々にして「この役職はこの仕事」とか、「新人はこれ」などといった通常業務と同じような割り当てをしてしまいがちなのですが、災害対策は平常業務と違って優先度が割と低くなる傾向のある業務ですので、やる気のない人に当たってしまうと全く何も備えのない状態で災害を迎えることになってしまうことが多いからです。
 そこで、業務を整理して誰がどれをやりたいのかについて募集を行い、希望した人にやってもらってはいかがでしょうか。もちろん全体の動きは全員がある程度把握していないとうまく動けませんが、全員が同じことができるよりは、得意な人が得意なことをやるほうが楽しいし効率的です。
 お互いの得手不得手や好きなこと嫌いなことなどをオープンに話し合って決めていくことで、それぞれに納得感が生まれるのではないかと思います。
 特定の人に仕事が偏らないように割り振る仕事は肩書きのある方達にやっていただくことにはなりますが、備えなくてはいけないことなので好きな人に段取りをしてもらうのが一番だと思います。
 災害対策を通常業務の一つとして位置づけ、業務時間の中で予算をもらってきちんと対策をすることが、その施設や自治会、団体にとって非常にメリットが大きいのではないでしょうか。もちろん当研究所もご相談があれば、できる範囲にはなりますがお手伝いさせていただこうと思っています。
 コロナ禍で業務が落ち着かない現在だからこそ、新しい年になった今だからこそ、一度考えてみて欲しいと思います。

新年のご挨拶

 あけましておめでとうございます。
 雪とコロナウイルスでいろいろと騒ぎになったまま年を越してしまいましたが、あなたはいかがでしょうか。
 災害はいつ起きるかわかりませんし、一種類ではなく複合で起きることもよくありますので、しっかりと災害を知り、備えておくことがますます重要になってきているなと感じています。
 当研究所でも去る2020年は新型コロナウイルスの流行のおかげで半年以上殆ど対外的な活動を行うことができませんでしたが、その分さまざまな知識や知恵、そしてノウハウを手に入れ、環境整備もできたのかなとも考えています。
 今年は大きな災害がないことを祈りつつ、当研究所のモットーである「命を守る、命を繋ぐ」が遂行できるようにさまざまな活動を行っていきたいと考えています。
 何も無いのが一番ですが、何か起きたときに備えるのが災害対策であり防災です。
 あなたの今年一年の無病息災と無災害であることをお祈りし、いいことがたくさん起きることを合わせてお祈りしております。
 今年も引き続きよろしくお願いいたします。

常識の共有化をしておこう

 避難所運営において一番問題となるのは、正しいと思っていることと正しいと思っていることのぶつかり合い、常識同士の喧嘩です。
 例えば、避難所におにぎりが避難者の半分しか配られなかったとします。
 あなたは避難所の運営者として、これをどういう風に取り扱いますか。
 老人から渡すという人もいるでしょう。一つを半分にして全員に配るという考え方もあります。子供や妊婦、病人に優先するという見方もあれば、元気な若い人に優先するという考え方も、全部捨ててしまうと言う考え方もあり、千差万別になると思います。
こういったときには、運営者の間で激しくもめることになってしまうことがあります。言っている話は、誰の話もきちんと理解できるもので、お互いの常識がぶつかり合っている状態になっているのです。
 非常時にこういった事態になると、もめたあとはずっとしこりを残すことになり、あまり良い状況を生み出すとは思えませんから、平時に避難所の運営方針について基本ルールを定めておく必要があるのです。
 避難所には当初予定していない状況の人達が避難してくることがあります。避難所の性格上受け入れないと決めることはできませんから、あらかじめそういった人達が避難してきたときにどのように対応するのかを決めておくことが重要なのです。
 さまざまな大規模災害では、必ず何らかのトラブルが起きていて、毎回異なった考え方で解決がされてきていますから、そういった事例を収集して、自分たちだったらどうするかということを話し合っておきましょう。
 時間の関係や情報の集め方などで難しいなと感じるのであれば、クロスロードゲームというのがありますので、これで考え方を整理していくのもいいかもしれません。
 クロスロードゲームは実際に起こった出来事を追体験し、その処置が正しいと思うか他の処置ができたのではないかという意見を出し合うもので、そこから考え方を掘り下げていくとさまざまな意見を擦り合わせることもできると思います。
 あなたの常識が全ての人に通用するわけではありませんし、誰もがあなたと同じように考えているわけではありません。
 自分の常識は他人の非常識、それくらいの気持ちで他人の意見も傾聴できる避難所運営体制も組み立てていきたいものですね。

クロスロードゲームとは?」(内閣府防災担当のサイトへ移動します)

雪道を車で走行するときの注意点

2016年のときの雪景色。

 年末年始は大きな寒波が来るそうです。
 夜の間に雪が一気に降り積もってしまうこともありそうですので、予め積雪対策はしておいたほうがいいかもしれませんね。
 新型コロナウイルスの移動自粛ではありませんが、大雪のときにも不要不急の外出は控えて天気が落ち着くのを待つというのは基本です。
 でも、何らかの事情で道路を車で走らなければいけないことが起こりうるかもしれません。
 そんな方は、出かける前に以下の点に注意しておいてください。

1.車のタイヤはしっかりとしたスタッドレスタイヤになっているか。

 四輪駆動車などをお使いの方の中には「四駆だから大丈夫」と不思議なことをいう人が一定数いらっしゃいますが、二駆であれ四駆であれ、道路に設置しているのはタイヤです。そして、普通のタイヤは雪道を走るようには設計されていません。
 正確に書けば、「雪道を走れても止まれない」のです。
 普通のタイヤだと、走り出せても止まれませんので、高確率でどこかに突っ込んでしまいます。
 また、スタッドレスタイヤは普通のタイヤよりも経年劣化が早いですので、保管状況にもよりますが、3年も使うとしっかりと効かなくなってしまいます。
 まだ山があるからと言って古いスタッドレスタイヤを履くのはかなり危険です。
 道路で立ち往生して動けなくなる車の中には、結構高確率で古いスタッドレスタイヤを履いている車がいるそうですので、そうならないためにもきちんと使えるタイヤを履かせておきましょう。

2.タイヤチェーンは積んでいるか。

 スタッドレスタイヤも圧雪状態ではなかなか効果が十分に発揮できません。
 そんなとき、タイヤチェーンがあればしっかりと走ることができます。
 また、雪道からの脱出時にもタイヤチェーンがあったほうが安心できます。
 金属チェーン、ゴムチェーンとありますが、どちらでもいいのできちんと準備しておきましょう。また、あらかじめちゃんと巻くことができるように練習しておくことは言うまでもありません。

3.スコップは積んでいるか。

 もしも動けなくなったときには雪をどけて道を切り開く、またはその場で救援を待つとして車内暖房を効かせるためにエンジンを回すとき、排気管が雪に埋もれるのを防ぐために排気管の周りを定期的にほる必要があります。
 そのためには、先が平らな平スコップまたは除雪スコップを準備しておきましょう。

4.幹線道路以外は走らない

 大雪になると、幹線道路以外の道路の除雪は後回しにされます。
 そのため、普段使っている迂回路だからと狭い道に入ってしまうと、そこで動けなくなると救援が来るのがいつになるか分からない状態になります。
 自分も困りますし、周囲にも迷惑をかけますので、幹線道路以外は走らないようにしましょう。

5.燃料はできるだけ入れておく

 普段の感覚で大丈夫だと思っていても、道路で動けなくなると車のエンジンを使っての暖房が生命線になります。
 そのため、大雪でどうしても出かけないといけない場合には、できるだけ燃料を満タンにして出かけるようにしましょう。
 ちなみに、軽油の場合は暖地と寒冷地では仕様が異なりますので注意してください。

 まだまだいろいろな注意点はあるのですが、大雪のときには車でも歩いてでもできる限り出かけないのが基本です。
 どうしても出かける場合には、上記の点そして下記のリンク先の中もしっかりと確認してもらって、安全に出かけて帰ってこられるようにしてくださいね。

雪道・アイスバーンでの運転の注意点」(JAFのウェブサイトへ移動します)

作った計画はできるかどうかを検証しておこう

 マイタイムラインやBCPなどを作りましょうということでさまざまな場所でいろいろな講習会や説明会が開かれています。
 そこで出来上がった計画は非常に優れていて被災しても命はきちんと守れるというものになっているのですが、それが実際の行動に移せるのかというと、ちょっと難しいのではないかというものを作っていることも多いです。
 マイタイムラインやBCPは非常時に命を守ることが目的となっています。BCPの場合にはこのあとの復旧も記載しておかないといけませんが、その策定計画に無理がないかを、一度しっかりと確認してみてください。
 よくあるケースとしては、マイタイムラインで特別警報が発表されたら自動車で川向こうの高台の避難所に避難するといったものがあります。
 「特別警報が出たら」「高台の避難所に避難する」は問題はありませんよね。
 ここで問題になるのは「自動車で」「川向こうの」という部分です。特別警報が出ているような状況だと、河川が氾濫危険水位もしくは氾濫している可能性が大きいです。
氾濫しそうだと通行止めになりますし、もし氾濫していたらそもそも通行できません。
自動車で突破しようとしても、川の流れに車ごと流されてしまう可能性もかなり高くなりますから、手順を考える必要があるわけです。
 このケースだと、「特別警報」ではなく「氾濫注意水位情報」にしておくと、他を変更しなくても安全に避難することが可能になります。
 もしも「特別警報」を避難判断の基準にするのであれば、「自宅の2階以上の部分」や「近くの高い建物に歩いて避難する」ようにした方が安全だと考えます。
 特別警報が発表されるときには、すでにそのエリアでは災害がどこかで起きていると考えた方がいいですから、家の周囲で水が溢れている状態ということを想定して避難計画を組んでおきたいところです。
 また、「非常用持ち出し袋に1週間分の食料と水を入れて歩いて避難」というのも見たことがありますが、それを持って避難しようとすると、一人分であっても自力でもって移動することは困難だと思います。
 実際に実行できる計画というのは、作った後に実際に行動してみてうまく行くかどうかをきちんと確認しておかないといけません。
 作ったことで満足するのではなく、実際にその作った計画が実施できるのかについて一度やってみて、できない部分を手直しし、本当に使えるものにしていきたいですね。

地域の調整役を作っておく

 被災後に支援や復旧がどれくらい速やかに進むかどうかというのは、地域、行政、ボランティアを繋ぐ調整役がいるかどうかで決まります。
 行政機関はこの役を地域の自治会長に担ってもらうことを前提にさまざまな支援計画を作っているわけですが、自治会のない場所や自治会が機能不全に陥っているところは自治体職員が派遣されて調整を行うことになります。
 誰がやるにしても、地域の中でしっかりと顔が売れていて、「あの人が言うのなら」というような人が調整役として存在していないと声の大きい人やさまざまな伝手やコネを持っている人が優遇されてそれ以外の人はいっこうに復旧が進まないといった事態になることもよく起こります。
 地域を上手に復旧させるためにはしっかりとした方針と実行力が必要となります。そして、いろいろな要望や無茶ぶりをする人達の間を上手に調整してトラブルを上手に解消できること。そう言った人を地域に作っておかないといろいろと面倒なことが起こります。
 普段から頼りになる人に防災担当になってもらい、諸機関と地域の被災者を上手に調整してもらうことが必要なのです。
 ちなみに、阪神淡路大震災でも東日本大震災でも、救助や復旧が早かったのはこういった人がいる地域でした。
 なかなかご近所同士でも顔が分からないことがあるというこのご時世ですが、地域で頼りにできる人は必ずいると思いますので、可能であれば地域で災害だけでも窓口を決めておくことをお勧めします。

大雪が降るかもしれません

 山陰地方では、これから年末年始にかけて大雪が降るかもしれないという予報が出ています。
 大雪に対する対策としては、水道管の凍結防止対策、停電に備えて発熱素材を使った服の準備などを含む暖房の多様化、それから雪による交通障がいによる食料品の配送遅延や買い出しできない場合に備えた食べ物の準備をしておくと気分的に安心すると思います。
 また、初詣などにお出かけの場合には、事前に気象情報や交通情報をしっかりと確認し、移動中も定期的に確認して道路での立ち往生を防ぐようにしましょう。
万が一に備えて、お出かけの荷物には水と簡単な食料を入れておいた方がいいと思います。
 準備しても、何事も起きないかもしれませんが、何事もなければ準備した物をそのまま使えばいいだけの話です。
 備えあれば憂いなしです。しっかりと準備をしておきましょう。
 ちなみに、水道管が破裂すると給水が止まってしまうことになりますので、念のため生活用水としてお風呂のお湯は落とさずにいたほうがいいかもしれませんね。