屋内での熱中症に気をつけて

お手製の経口補水液を作っておくのもよい。その時は砂糖の量を調整すること。

 暑くなってきましたが、あなたの体調に変わりはありませんか。
 屋外での作業時には、小まめな休憩や補水を意識するものですが、熱中症は屋内でも起こりますし、案外と屋内で熱中症で倒れている人は多いようです。
 政府からは節電要請が出ていますが、節電した結果、熱中症で倒れてしまっては何にもなりませんので、しっかりとエアコンの冷房を効かせておくようにしてください。
 どうしても節電に協力したいという方は、午前中の涼しい時間に図書館などにでかけて夕方まで過ごすようにすれば、節電と熱中症の両方の対応ができます。
 また、コンクリート住宅では、日中熱せられた外壁がなかなか冷えずに、屋外が涼しくなったからといってエアコンを切ってしまうと、あっという間に室温が上がってしまいますので、気をつけて下さい。
 室温は28度を超えたとき、湿度は70%を越えたときがエアコンを起動させる一つの目安になります。
 そして、エアコンを使うのと同時に、水分補給を忘れないようにしてください。
 のどが渇いたときに飲むのではなく、2時間間隔くらいで時間を決めて、しっかりと取るようにしてください。また、飲むときにはコーヒーや紅茶、緑茶などの利尿作用のあるものやジュースなどの糖分の高いものは避け、水や麦茶といったものにしてください。
 家の中にいると、他人の目が届かない分倒れるとかなり危険です。屋内にいるときにも、熱中症対策をしっかりと取るようにしてください。

魔法瓶は必ず持っていこう

 小さい子ども、特に乳児のいるご家庭では、非常用持ち出し袋には必ず魔法瓶を入れておき、災害が起きて避難するときには、できればその魔法瓶にお湯を詰めて避難して下さい。
 ご存じとは思いますが、ミルクやお尻拭きの温め、湯たんぽに使うお湯など、お湯があるだけで乳児の快適さはかなり違ってきます。
 普段母乳が出る人でも、避難による緊張や不安で充分に母乳が出ない場合もありますので、乳児のいるご家庭では母乳の子でも飲めるミルクを調べておいた方がいいです。
 仮に発熱剤やガスコンロを持っていたとしても、お湯の準備は必要です。
 避難する状況はさまざまですが、常にお湯が手に入る環境にいるとは限りません。
 火気厳禁の避難所もありますし、発熱剤が使わせてもらえない場合もあります。
 お湯は手に入るときにしっかりと手に入れておくことが、乳児がいるときの避難の鉄則になります。
 また、お湯があるといろいろと使えて安心ですので、可能であるなら魔法瓶にお湯を入れることを忘れずに準備するようにしてください。

被災経験を伝承する

 日本に住んでいると、殆どの人は人生で1回くらいは大きな災害に出くわすものですが、その災害の経験がうまく伝承されていないせいで、次に起こった大きな災害では同じような悲劇が繰り返されています。
 長生きしている人でも、その寿命はせいぜい100年程度。
 例えば、活断層の定義である「数十万年以内に動いた場所」から考えると、まばたきしているくらいの期間でしかありません。
 年齢を重ねるにつれて、自分の経験から推し量るようになるのが人間ですが、過去に何も無かったからといって、これからも何も起きないという保障はどこにもないのです。
 ただ、過去に起きたことで何が起こり、結果としてどうなったのかを伝えていくことで、未来で起こりうるさまざまな被害や悲劇を小さくすることは可能です。
 技術が進み、さまざまな災害対策が進んだとしても、最終的に人は自然には勝てませんから、自分や周囲の人の命を守るためには過去の経験をきちんと伝え、きちんと承継することが大切なのです。
 一代くらいならこれもできますが、二代、三代となると伝わらなくなっていきます。
 そのため、昔話や伝説にたとえて、話を聞いてくれる年齢のうちにしっかりと教え込むようになっていたのです。
 あなたが体験した災害について、きちんと子や孫、周囲の若い人達に語り継いでいますか。そして、若い人達は年寄りに体験した災害の話を聞いていますか。
 高度成長期に年寄りの話を馬鹿にする風潮があったせいで、昔の年寄りから今の年寄りへの伝承は途切れていることが殆どです。
 でも、今の年寄りが経験したことは、若い人達に語り継ぐことができるはずです。
 過去の災害体験は未来に向けて伝える義務があります。
 どうかしっかりと若い人達に伝えてほしいと思います。そして、若い人達はその伝承を馬鹿にせずにしっかりと聞いて、自分の体験として受取り、次の世代に伝えていってほしいと思います。

ちょっとだけやってみる

やったことがなければ、アウトドア団体などが主催する日帰りキャンプなどに参加してみるのもいい。

 防災関係では、さまざまな経験値が命に直結しますが、体験をしようと思うと、なかなかに難しいものです。
 慌てていっぺんにあれこれやろうとしてもうまくいかないことが多いですし、わからないことや失敗ばかりが続くと、やっていて嫌になるものです。
 災害対策は慌ててやってもいっぺんにあれこれできるようになるわけではありません。あくまでも日常生活の延長線上でちょっとだけ不便な条件を設定し、実際に体験してみることが大切です。
 例えば、家族でお出かけするときにいつもは車で出かけるところを歩いてみるとか、お昼ごはんを外で作ってみるとか、ほんのちょっとだけ非日常を加えて、経験を重ねていけばいいのです。
 ちょっとしたことでも、成功体験は次に繋がります。難しいことは必要なく、できることをできるようにやってみればいいのです。
 この「ちょっとした」はやるだけ無駄という人もいます。きちんとした訓練でないと意味が無いという人もいます。
 ただ、普段ならしないことを体験することで、やったことがなくてもできるという成功体験があれば、何も無いと絶望しなくてもすみます。
 まずは体験してみること。自分の災害対策はそこから始まります。

キキクルを上手に使う

 気象庁が提供しているキキクルというサイトをご存じですか。
 「キキクル」は気象庁がウェブ上で公開している危険度分布を表すサイトのことで、雨による土砂災害や浸水害、洪水の災害の危険度を地図上で確認できるようになっています。
 残念ながらスマートフォン用アプリは作られていませんので、検索エンジンで「キキクル 気象庁」と入力してもらって確認するしかありません。
 できれば、平時にこのサイトを確認してもらい、スマートフォンのホーム画面にショートカットを作っておくといざというときに慌てなくて済むと思います。
 このキキクル、提供されている情報は行政機関のものと同じなので、確認しておけば、行政機関よりも早く危険を読み取ることが可能になります。
 また、その地域のハザードマップも表示できるようになっているので、組み合わせればどこが危険になっていて最悪どうなるのかが一目でわかります。
 この情報が一つの判断基準として使えると思いますので、雨雲レーダーと併せて、上手に活用して下さい。

キキクル(気象庁のウェブサイトへ移動します)

家具の固定はしていますか

 地震のときに身を守る上で怖いのは、落下物によるケガです。
 職場や外出中であれば吊り天井や照明、家であれば、照明や家具が問題となってきます。
 職場や出掛けた先での対応は自分ではどうにもできない部分も多いですが、家であればある程度は自分の思うように作業ができると思いますので、照明と家具の固定はすぐにでもやっておきましょう。
 借家の場合には家具の固定は難しいと言われますが、要するに家具が転倒するのを防ぐ作業をすればいいので、壁や天井に工具を使って固定をしなくても、家具が動き出さないように天井一杯まで段ボール箱などを詰めておけばいいのです。
 家具が倒れるときには、動き出すスペースと倒れるスペースがいります。家具と天井の間に空の段ボール箱でいいので詰めておけば、家具が動き出すことを抑えられるので、家具が転倒する確率をかなり減らすことができます。
 また、わざと壁に向けて少しだけ傾斜させておく方法もあります。ほんの少しの傾斜でも、地震のときには家具は転がりやすい方向に力が向きますから、人がいる側では無く壁側に家具がぶつかるようになり安全が確保できます。
 突っ張り棒やチェーンなどでしっかりと固定しておけば安全ですが、もしそれができなくてもいろいろな方法で家具を動きにくくすることはできますから、家具を置くときにはそういったことを考えて配置してほしいと思います。
 それから、家具の転倒方向に出入口を置かないことも重要です。出入口前に家具が倒れてしまうと、避難のときに扉が開かなくなったり、移動がしにくくなったりしますので、家具の方向はしっかりと考えておきましょう。
 家具が倒れてくると、それだけで大けがをしてしまうことが予測されますが、ちょっとした準備でそれを防ぐことは可能です。
 できないからしないのではなく、できないなかで何ができるのかを考えて、できる範囲でしっかりと備えておくようにしましょう。

地震のときにはまず身を守る

 本日、石川県の方で震度6弱の大きな地震が起きたようで、被災された方の早い復旧を願っています。
 さて、最近あちこちで地震が起きていますが、あなたの備えはしっかりとできていますか。日本に住んでいる以上はどこにいても地震とは無縁ではいられませんので、しっかりとした対策を取っておく必要があります。
 地震が起きたときには、まずは身の安全の確保。身の安全とは、要するにケガをできるだけしないということですが、それが全てに優先しますので、あなた自身の身の安全を確保することを最優先に行動をするようにしてください。
 最近ではさまざまな感震装置がついていて、万が一には電気やガス、石油ストーブなどは自動的に停止するように作られています。
 また、地震で落ちたり倒れたりするものは人の力ではどうにもなりませんし、ヘタをすると落下物でケガをしてしまうこともあります。
 まずは落下物から身を守ること。
 そして閉じ込められないようにしておくこと。
 これだけで、トラブルが発生する危険はかなり回避できます。
 普段から、少しだけ周囲を意識して、どこにどのようなものがあって、どうなったら落下するかもしれないという見方をしてみておくと、地震のときには助かると思いますので、やってみてください。

 余談になりますが、地震の後で結構多い問い合わせとしてガスの復旧があるそうです。ガスはLPガスも都市ガスも復旧ボタンを押せば自動で漏れを確認した上で復旧してくれるのですが、このボタンの位置、ご存じですか。LPガスも都市ガスも計量器に復旧ボタンがついているのですが、集合住宅の場合には、計量器が鍵付きのケースに収まっていることがかなり多く、そこを開けられなくて復旧ができないという場合が多いようです。集合住宅にお住まいの場合には、解錠するときにだれに連絡したら良いのかについても、確認して置いた方がいいと思います。

【活動報告】二条公民館で防災教室の講師をしました

 2022年6月17日に益田市の二条公民館で地域の方向けの防災教室の講師をしました。
 テーマは「豪雨の前にできること」ということで、情報の集め方や気をつけなければいけない場所、避難すべきかどうか、それから避難の考え方までをお話ししました。
 避難の判断は個別に行うことと、まず自分の安全の確保をすること、それから避難先やトイレの問題など、避難と避難後について、いろいろな情報を提供したのですが、あまりに一生懸命聞いていただけたので時間を越えてしまったのがちょっとまずかったかなと思っています。
 災害の発生は、地震を除けばある程度の時間がありますので、自分が避難したい場所に避難するための時間を逆算して、避難情報にこだわらずに避難してほしいと考えています。
 二条公民館は今回で3回目。今ある情報をできるかぎりわかりやすく提供したと思いますが、お話を聞いて下さった方達が自分の安全確保ができることを願っています。
 今回お声がけいただきました二条公民館の皆様、参加してくれた皆様に心から感謝します。

避難は自分で決めるもの

 防災の研修会では、市町村の発表する大雨の避難レベルのうち、レベル3の高齢者等避難が出たら避難を始めて下さいという説明をすることが多いのですが、本当はそれぞれが自分で判断すべき鍵を持っておく必要があると思っています。
 そもそも、市町村の避難レベルはその地域全体を見て発表されるものなので、発表される前に崖崩れが起きたり、家の前が川になってしまっている場合もあり得るわけです。そのため、土砂災害が起こり得る場所に住んでいたり、内水氾濫が想定される場所に住んでいる場合には、自分が避難すべき判断基準を自分で持っておく必要があります。
 まずは避難すべきなのか、避難しなくてもよいのかに始まり、何が危険なのか、どんな災害時には避難をしなくてはいけないのか、そして、安全に逃げるためにはどうすればいいのか、最後に安全な避難先はどこに確保するのかを全て決めておきましょう。
避難すべき判断基準は人の数だけあると思います。
 隣近所が避難しなくても、あなたが避難すべきと判断した基準が来たら、淡々と避難すればいいのです。
 マスメディアでは大雨の災害が起きるたびに市町村の避難指示の判断についての論評がされますが、それは実はどうでもいい話で、自分が安全だと判断するかどうかが鍵なのです。
 自分の命は自分が守ること。
 それが基本です。避難レベルは行動判断の一つの基準でしかありませんから、お住まいの場所や普段いる場所の危険度を確認して、いざというときには何も考えずに避難開始できるようにしておいてくださいね。

【活動報告】高津小学校の防災クラブを開催しました

2022年5月15日に益田市立高津小学校で令和4年度第2回目の防災クラブを開催しました。
今回は「助けよう、助かろう」ということで、以前購入した心臓マッサージ練習機のあっぱくんライトとスクーマン2を投入して、心臓マッサージとAEDの使い方、そして傷の手当てと担架搬送をやってみることにしました。

 ただ、実習主体でやったため、今回は心臓マッサージとAEDの使い方で時間が終了してしまい、ケガの手当と担架搬送は秋にもう一度やることにしました。
心臓マッサージでは、実際に2分間、二人一組で交代しながら心臓マッサージを続けてもらい、「同じリズム、同じ強さで続けるのは取っても大変」ということを理解してもらいました。
 その後は、AEDの実機を見てもらい、それからAEDの訓練機で実際に心臓マッサージとAED、そして救急通報までを数人の子ども達にやってみてもらい、今回のクラブを終了しました。

 訓練では省略されがちですが、実際には救急車が来るまでは自力で心臓の拍動が再開されない限り、心臓マッサージを続けることになります。その大変さと、周囲の人の協力を得ることが重要であることがわかってもらえたら嬉しいです。
 現在はコロナ禍ですので人工呼吸はしないようですが、緊急時に命を繋ぐための心臓マッサージ、少しでも記憶に残っているといいなと思います。
 今回参加してくれた子ども達、そして毎回無理難題を聞いて下さる担当の先生、支援してくれた研究所の会員の皆様に、こころからお礼申し上げます。