大規模災害に備えている人がどれくらいいるのかについて、平成31年1月29日~30日にかけて市場調査会社のマクロミルがインターネットで全国の20代から60代の男女1,000人にアンケートを行ったそうです。
その結果、避難場所をあらかじめ確認した人は48.1%、食料品や日用品を備蓄している人は47.2%といずれも半数に満たなかったという結果が出されました。
国の定める防災基本計画では、家庭では最低3日分、首都直下地震や南海トラフ地震が日の目を見てからは1週間分の飲料食の備蓄をするように求められていますが、その備蓄が進んでいないという現実がわかりました。
研修会などでも「大地震が来ると思っている人」と問うとほとんどの人が手を上げますが「では明日大地震が来るかもしれないと思っている人」と問うと、ほぼ手が上がりません。これは「そのうちに起きるのは間違いないが、自分は被災しない」となぜか思っているということです。
あれだけ津波が来ることを知っていた東北の人たちでさえ、東日本大震災では「まさか」という方が非常に多くて、結果的にたくさんの被災者の方が寒くひもじい思いをすることになりました。
日本人の感覚として「悪いことに備える」というのは「悪いことが起きることを期待している」とイコールになっているのかなという気がしますが、備えなければ自分がひどい目に遭うのですから、周囲はともあれ、自らの備えだけはきちんとしておく必要があると思います。
そして結果的に悪いことが起きなかったときに文句を言って回る人が多いのも、備えをさせない大きな原因なのかなと感じます。
「備え」とは「万が一悪いことが起きたときの対策」なのであって、備えを使わないままというのが一番理想です。
でも、そうすると「備え=無駄」と思ってしまう人の多いこと!
「備えよ、常に」を念頭に、使わないことを期待しながら最悪に備えることは、災害に限らず、これからありとあらゆる場面で必要になってくる能力なのではないかと考えています。
投稿者: 所長@管理人
災害遺構を訪ねて3・萬福寺の仏像と髑髏
今回も万寿の大津波の災害遺構です。
場所は雪舟庭園で有名な萬福寺さん。
お寺の由来によると、その前身は中須の浦にあった安福寺というお寺だったそうです。
西暦1026年の万寿3年5月に石見地方を襲ったとされる大津波でこの安福寺は破壊され、現在の萬福寺の位置に漂着した仏像を収める小庵が作られ、その後萬福寺となったとされています。
現在お寺ではこれら被災した天部形立像が数体展示されていますが、腐食により「像だったことがわかるもの」となっています。
他にもさまざまな立派な仏像が展示されている中でこれがひときわ目立つのが不思議です。
そしてもう一つ。この万寿の大津波で亡くなった髑髏が2つ、箱に収められて展示されています。
来歴が書かれた版のみ掲示しますが「自分たちのこの姿を見せて末代までこの災いを語り継いでほしい。その功徳によって自分たちは成仏できる」というようなことを当時の和尚様に伝え、それ以来展示されているそうです。
昭和51年には慶応大学の考古学の教授によりこの髑髏の調査が行われ、片方が25歳くらいの女性、もう一つが7~8歳の子どもという結果も出ているようです。
萬福寺は他にも明治維新の火ぶたが切られた「石州口の戦い」で使われた鉄砲の弾痕が残っていたり、静かな美しさの雪舟庭園も見所の1つです。
拝観料は大人500円。人気のないこともありますが、玄関脇の呼び鈴を押すと人が出てきて手続きをしてくれ、御朱印をもらうことも可能です。
手近な観光として萬福寺さんをお参りしてみるのもよいかもしれません。
要支援者と域外避難
災害が発生すると、国の計画では発生後3日以内に必要と思われる物資を被災地に送り込むことになっています。
この物資は命をつなぐためのものが最優先であるため、主に食料と水が中心となります。
それから日用品に移行していきますが、全ての人が必要としない物資についてはどうしても遅れてしまう、または届かないという特性があります。
たとえば、大人用おむつや乳児用ミルク、生理用品、アレルギー対応食などがこれに該当し、必要とする人の数が少なければ少ないほど支援物資として届く優先順位は下がります。
これは医療現場でも同じで一般的でない病気や資機材のいる病気などへの対応はやはり遅くなってしまいます。
東日本大震災では酸素吸入や透析が必要な方への手配が問題となりました。
さまざまな理由で特殊な資機材や物資の支援が必要な人、つまり要支援者が一定数存在することを考えると、災害時には被災地以外の場所へ一度待避してしまったほうが支援が受けやすいのではないかと思います。
受け入れの問題もありますが、都道府県や市町村といった行政機関や病院でお互いに受け入れ体制を作り輸送手段の確保さえすれば、要支援者への対応を被災地で考える必要がなくなり安全性も増すのではないでしょうか。
復旧や復興にどれくらいかかるのか、いつ地元へ戻れるのかがわからない不安はありますが、資機材不足、物資不足による命の危険と併せて考える必要があると思います。
行政機関同士では対口支援(たいこうしえん)と呼ばれる行政職員の相互支援協定が作られて、平成30年の西日本豪雨でも活用されました。
行政職員を被災地へ送り込む制度ができるのですから、要支援者を被災地外へ搬出する制度もできるのではないか。
いろいろと問題はあると思いますが、検討しておく重要なことの一つではないかなと考えます。
自分がどれくらい歩けるかを知ろう
災害が発生するときには、避難は基本的に徒歩となります。
たとえば地震であれば、路面の地割れや火災、落下物や倒壊した家屋などが道路上に散乱して車両が通れなくなることが過去の災害ではたくさん発生しています。
水害であれば、道路に水があふれ出すと車が浮いて流されたり、貯まった水に突っ込んで動けなくなったりします。また、逃げようとしても扉や窓が開かないという事態も発生します。
歩きであれば、少なくとも動けなくなるということだけは防ぐことができるため、歩いての避難が原則とされているのです。
ただ、実際のところは車を使ってしまうのが現実で、あの東日本大震災を受けた東北三県でその後に起きた大きな余震と津波警報発令時(2012年12月7日)には「歩いて避難」とわかっていながら避難する車の大渋滞があちこちで発生しました。
そのため、自分が「歩いてどこへ避難できるのか」ということを確認しておく必要があります。
一度やってみると、案外と自分が歩けないなと言うことに気づくと思います。
できれば移動開始から到着までの時間も計っておくと、自分が避難するのにどれくらいかかるのかが数値によって理解できます。
歩くことは災害時の基本です。さまざまな場面で自分がどれくらい歩くことができるのかを把握しておくことはとても大切だと思います。
津波や水害で自分が避難しようとする先にたどり着けるかどうかも、実際に歩いてみればわかります。
そうすると「どの段階までに避難を開始しなければいけないか」や「どの災害の場合にはどこへ避難するのか」がはっきりと見えてくるわけです。
「避難」は「避難場所に逃げる」でなく、「自分の命を守ることのできる場所に逃げ込むこと」です。
水害や津波の場合、走っても逃げ切れないなと思ったら、近くにあるなるべく高い建物の高い場所に逃げ込むのも「垂直避難」と呼ばれる立派な避難です。
自分がどこまで歩けるのかを知ることで、自分の命を守るために打つべき手が見えてきます。
まずは歩いてみることです。
はちみつの注意点
災害用の非常食として、乾パン&はちみつというのは割と有名なようです。
おなかに貯まるけれどパサパサしている乾パンにしっとりとして栄養素の高いはちみつを塗って食べるのは、非常食としてだけではなく普段のおやつとしても結構おいしいものです。
ただ、はちみつを食べるにあたってはいくつかの注意点がありますので、今回はそれに触れてみたいと思います。
1.乳幼児には与えない
いくら栄養素が高いからと言っても、乳幼児にあげるのは御法度です。
はちみつにはごくまれですがボツリヌス菌が含まれていることがあり、乳幼児に与えると乳児ボツリヌス症を発症することがあります。
これは消化器官が未熟なことにより起きる中毒ですが、死ぬこともありますので1歳未満の乳幼児、1歳以上であっても消化器官の発達が未熟な幼児には与えないようにしてください。
ちなみに、妊娠中や授乳中の母体には影響がありませんので安心してください。
2.アレルギーに気をつける
はちみつは、みつばちが集めてくる花の蜜です。
はちみつの原材料欄を見てもらうと「はちみつ(国産)」などと書かれているものがあると思います。
ここに表示がない場合や「百花」と書かれているものは「いろんな花」という意味ですが、これらの場合には、採取する場所や花によっては「そば」「りんご」などアレルギーを持っている人がいる花から集められたはちみつもあります。
この場合、そのはちみつによってアレルギーが出る可能性があることを知っておいてください。
自分のアレルギーがどの程度のものなのかについては、事前にお医者様に確認をしておいたほうがいいと思われます。
3.食べ過ぎないこと
はちみつは非常に甘くカロリーも高く消化もかなりいいものです。100gあたり300kcalあり、体内に入るとすぐに吸収されてエネルギーに代わります。
必要以上に食べると、エネルギーが中性脂肪になってしまい体内に蓄積されてしまいますので、おいしいからといってひたすら食べ続けることのないようにしたいものです。
また、食べ過ぎると人によってはお腹が緩くなって下痢を起こす場合もあります。災害時に万が一トイレが使えない状況の中で下痢になったら・・・。
考えたくない事態が起きるのを防ぐためにも、食べるのはほどほどにしておきましょう。
繰り返しになりますが、はちみつは栄養素が高く乾パンやクラッカーといった非常食に大変よく合うものです。
その上、賞味期限も長いですから、あれば重宝することは間違いありません。
非常食の一つとして、スティックタイプのはちみつを加えておくと安心ですね。
個人的には、災害食認定を取っている地元の空港はちみつのスティックタイプがおすすめです。なかなかお目にかかることはないのが残念ですが。
「BCPを作成している」の意味
何社かの法人様のBCPを見せていただく機会があったのですが、内容を見てちょっと考えてしまいました。
BCPとは、文字通り「事業を継続させるための計画」のことです。
自社の備蓄量や生産量、さまざまな流通や生産が止まった場合にはどうするのかまで検討しておかないといけないものなのですが、作られているBCPは自社のみが被災してるという想定で作られているものが非常に多い気がします。
他社のBCPを組み込んでいる場合でも「○○社のBCPでは最短2日後には生産が再開されるため~」などといった感じで、そこが稼働できなくなった場合や道路、鉄道、船舶、航空といった流通がインフラの破壊により動かない場合にどうするのかが考えられていない感じです。
例えば、平成30年に起きた西日本豪雨では、山陽側の幹線道路や鉄道が寸断され、あっという間流通が麻痺してしまいました。今現在も完全に復旧しているとはいえない状態です。熊本地震や東日本大震災では機械の製造ラインは使えるのに、たった1つの部品を作る工場が被災して稼働できなくなったために生産ができなくなったというようなことが起きています。
そうなった場合にどのように部品を手当てするのか、どのように自分のところまで運んでくるのか、そしてどこへどのような手段で誰がというところまで詰めておくことが必要です。
他社に頼る部分は、他社のBCPを当てにするのでは無くそこが稼働できなくなった場合にどのようにするのかというところまで検討しておかないといけません。
また、自社の強みを手持ちの資材でどこまで発揮できるか、そして最悪の場合閉店も含めてどんな手段が考えられるのかを検討しておくことがBCPなのです。
BCPは業者にお任せで作るものではなく、自社の強みや弱みをしっかりと把握し、どこまでやるのかをしっかりと詰めること。
そこまでやった上で、外注するのであればノウハウを持つ業者と一緒になって作るものなのです。
「BCPはできてます」ではなく、「このBCPがあるので、我が社は少々のことなら生き残れます」といえるようになっていなければなりません。
経営者の方は、災害時に最悪の状態でも生き残れることができるような内容かどうかについて、自社のBCPを見直した方がいいのではないかと思っています。
足下に気を遣おう
災害時には「徒歩」による移動が大原則ですが、歩くための足回りになっているでしょうか?
都会だろうと田舎だろうと、道路が寸断されてしまえば自分の足以外に頼る移動手段はありません。
自分の足で歩くためには、歩くための体力はもちろん必要ですが、歩けるような足下であるかどうかも大切になります。
普段から運動靴を履いておられる方であれば問題はないのですが、革靴やハイヒールなど営業を担当される方は歩きにくい靴を普段使いしないといけない場合があるでしょう。しかし、数kmしか歩けないような靴では困りますし、歩くことによって足を痛めては何にもなりません。
そのために、普段使いの靴とは別に「歩きやすい靴」を準備してカバンにいれておきましょう。
運動靴をカバンの中に入れておくだけで、安全性は格段に上がります。仮に何かあって歩かないといけない状況に追い込まれても、運動靴に履き替えれば少々の距離なら平気で歩くことが可能でしょう。
持って歩くのは結構面倒くさいのですが、安全安心を備えると言うことで、持ち歩くものの中に運動靴を忍ばせておいてくださいね。
また、ほぼ男性用に限定されてしまうのが難点ですが、一見革靴風のトレッキングシューズ、トラベルシューズなどもありますので、それらを活用するのもよいのではないでしょうか。
いずれにしても、災害時に靴が原因で動けなくなると言うことがないようにしたいものですね。
体を濡らしたままにしない
雨天時や洪水時の避難では、いくら雨具をつけていても濡れてしまうものです。
特に避難路が冠水している状態で避難を実施する場合には、足下が靴ということもあって必然的に体のどこかは濡れてしまいますので、避難が完了したら速やかに着替えて乾かすことをおすすめします。
夏場に夕立ちにあって全身ずぶ濡れになって、寒い経験をしたことはありませんか。 あれと同じで、体が濡れたままにしておくと、濡れた服が体温で乾いていくときに体温を持って行かれてしまい、場合によっては夏でも低体温症になることがあります。
それを考えると、非常用持ち出し袋には靴下や下着を含めた着替えを最低1組、それにフェイスタオルを一枚入れておく必要がありますよね。
濡れたら体から水分を拭き取って着替える、それにより体の保温を維持することができます。
海難事故の映画などで海から引き上げられた遭難者がそのまま毛布を着て震えているようなシーンがありますが、毛布が暖かいのは毛の間に空気が貯まっていて、その空気を体温で暖めるから暖かくなるわけで、濡れたままでは毛布もびちょびちょになってしまい、保温はできません。
同じことが災害時にもいえます。毛布では無く、最近はやりのアルミ蒸着シートなら大丈夫という人もいましたが、薄く軽く熱を逃がさない特性を持っているアルミ蒸着シートであっても、熱の発生源である人間の体が冷えているのでは、決して暖かくはありません。
濡れた服は脱ぐ。そして乾いた服を着て毛布やアルミ蒸着シートをかぶせて保温する。
災害時には体調を崩すことも多いです。ともかく濡れたままにしないこと。これを徹底しましょう。
ちなみに汗をかいても同じことが起こりますので、普段から体温調節や室温調整には気を遣ってくださいね。
避難場所の憂鬱
テレビの映像などに映し出される避難所では、避難している方がそれなりにいろいろなものを持っていて生活している様子が映し出されることが多いです。
これは避難所が開設されて運営されているから。
でも、災害直後や事前避難の映像では、大概の場合「不安そうにテレビを見ている図」しか映像になっていないと思います。
これは何故かというと、「他に絵になるものがない」からです。
災害直後や事前避難で避難するのは、「避難所」ではなく「避難場所」。以前にもちょっと触れましたが、避難場所は「一時的に危険から身を守るために避難を行う場所」とされており、行政機関などは場所の提供のみを義務づけられていることになります。
つまり「基本的には何もない」のが避難場所なのです。
「行政機関の防災計画書では食料や水、毛布の備蓄はあることになっているじゃないか!」と言われるかもしれませんが、避難場所に対しては資材を提供する義務はありません。
あくまでも場所の提供だけなのです。もちろん避難所を開設すれば備蓄資材を使うことも可能になりますが、行政機関が備蓄している資材は、対象人口に比べるとないに等しい量しか確保されていないのが現状です。
自治会や自主防災組織が避難場所の管理者になっている場合にはその判断により避難所を開設して資材を解放することも可能ですが、大概の場合は自治会や自主防災組織が調達した資機材の提供となるはずです。
この事はあまり知られていないのか、「避難所に身一つで行っても、とりあえず快適な避難生活ができる」と勘違いしている方が非常に多いのが現実です。
災害が起きてから慌てて身一つで避難場所に移動し、何も物資がないと知って避難場所を運営している行政職員に対して文句をつけるというのが、残念ながら現在の避難所のパターンとなっています。
繰り返しになりますが、避難場所はあくまでも「場所の提供」です。
自分の食べ物や飲み物、避難所で過ごすために必要なものは、大原則として自分で準備しておかなければなりません。
避難してから途方に暮れずにすむように、自分が避難中に使うものについては自分できちんと準備して避難の時にさっと持ち出せるようにしておきたいものです。
災害時に子どもを迎えに行くための準備をしておこう
災害時には、保育園や幼稚園、小学校などの開設時間内だった場合には、原則として「子どもは迎えに行く」というルールになっているところがほとんどではないでしょうか。
そのためには、迎えに行く側も迎えに来てもらう側もお互いに準備をしておかなければなりません。
今回は、双方の立場に立って何をしておいたらいいのか、どのようにしたほうがいいのかを考えてみたいと思います。
1.迎えに行く側の準備
1)迎えに行く人を決めて優先順位をつけておく
「迎えに行く」と一口に言っても、その災害が発生したときに誰が迎えに行けるのかという問題があります。
そのため、保護者以外にお願いできる誰かを準備しておく必要があります。祖父母や親戚、近所の人や子どもをよく知っている友人など、いくつかお願いをしておくと、いざというときに頼りにできます。
2)歩いて迎えに行けるかどうか試してみる
災害時には原則として徒歩による移動となります。そのため、自分がいる場所から子どものいる場所まで歩いて迎えに行けるか、時間はどれくらいかかるのかを確認しておく必要があります。
3)子どもが歩けるかを試してみる
子どもをどのように移動させるのかについては、子どもの年齢や大きさによってかなり変わってきます。子どもは歩けるのか、歩けないとしたら、どうやって移動させるのかを考えて、試してみる必要があります。
4)子どもの預かり先の対応を確認しておく
たとえば大雨などの場合、道路が冠水するなど、ある時点でお迎えを断念しなければならない場合が出てきます。その場合に、預かり先はどのような対応をとっているのか、とれるのかを確認しておく必要があります。
5)避難先を確認しておく
子どもの預かり先の建物などに何か問題が生じた場合に避難する先を確認しておきます。状況によっては、預かり先ではなく避難先に直接お迎えに行くこともあり得ますので、預かり先だけでなく、避難先までの経路を確認し、歩いてみることが大切です。
2.迎えに来てもらう側の準備
1)誰が迎えに来るのかを確認しておく
「迎えに来る」と言っても、誰にでも引き渡すわけにはいきません。そのため、あらかじめ誰が迎えに来る可能性があるのかについて保護者に確認し、リストを出してもらう必要があります。
できれば3名以上の名前と連絡先を教えてもらっておきましょう。
2)どの時点で避難または籠城するかを決めておく
各種災害において、お迎えを強行した場合に保護者が遭難してしまうような場合が想定されるとき、どの時点で引き渡しを打ち切って避難または籠城するのかについて明示しておきます。
その際に、その時点で引き渡しを待っている子どもおよび保護者の扱いについてもあらかじめ決めておくようにします。
3)避難所への移動手段および避難にかかる時間および避難先の資機材の確認
避難する場合、避難先にどの時点でどうなったら、どのように移動するかを決めます。その上で、移動時間がどれくらいかかるのかを計測しておきます。
また、避難先にはどのような資機材があるのかを確認します。
4)避難または籠城時に利用できる資機材について定期的に確認し、きちんと使えるようにしておく。
避難所で足りない資機材や籠城時に使う資機材について確認し、いつでも使えるようにしておきます。避難所への輸送手段についても決めておきます。
5)保護者との情報共有
お迎えに来る保護者と情報共有をしておきます。災害時にお互いの動きを確認しておくことでトラブルを防ぐことができます。
よくあるケースなのですが「どうなるかわからないから」と情報を内部で留めることのないように注意してください。仮にお知らせしている条件と変わったとしても、伝わっていないことは保護者の不安と疑心を招きます。
また、携帯電話やメール、ホームページなど、災害時の情報提供方法についてもお互いに確認しておいた方がいいでしょう。
いかがでしょうか? 一言で「災害時にはお迎え」と言っていても、事前準備をしっかりしておかないと無用の混乱が起きることになります。
災害時には、そうでなくても手が足りなくなります。事前準備をしておくことで、機械的に対応できる部分を増やしておくことで、突発的な出来事への対応がしやすくなるということを忘れないようにしてください。