1週間の備蓄量を考える

 防災対策でよく言われる非常時の備蓄品については、最低3日、できれば1週間程度準備することが望ましいとされていますが、何をどれくらい用意しておくといいのかというのは、なかなかイメージがうまくわかないのではないかと思います。
 特に消耗品である水や食料、仮設トイレやカセットガスなどは、内閣府が出している備蓄量からかなり増減する項目になると思いますので、正確な数量を知っておく必要があると思います。
 水は1日3リットルですが、人によってはもう少し少なく摂取している人、逆にそれよりも多く摂取している人、いろいろです。
 食事にしても、お米を毎食1合食べる人もいれば一日で1合という人もいるでしょう。パンでないとダメな人もいるかもしれません。
 また、トイレについても一日大小どれくらい使っているのかは人によってかなり異なります。
 備蓄品が余るのは問題ありませんが、不足する状態になると悲惨なことになってしまいますので、量や回数はできるだけ把握しておくことをお勧めします。

経験と被災生活

炊飯器以外のご飯炊きだけでも立派な経験になる。写真はビニール袋炊飯の一コマ。

 災害が起きた後、ある程度環境が落ち着いてくるまでは生活が激変することが多いです。ライフラインの確保や家屋、周囲の片づけ、職場の片づけや業務の復旧など、普段以上にさまざまなことを同時に行わなければなりません。
 生活の質も、蛇口をひねると水が出る環境から給水所まで水を取りに行くことになったり、オール電化だったのにたき火などで暖を取り、調理したりと、一気に数十年も過去に戻ることになってしまいます。
 そういった生活に耐えられるかどうか、つまり過去の経験の中でそれに似た状況になったことがあるかが大きなカギになるような気がしています。
 例えば、アウトドア遊びをよくやる人だと、環境が変化してもあまり気にならないかもしれません。
 疑似的に不自由な環境を作り出して体験していれば、どのようなものかが予測できるのであまり途方にくれることはないと思いますが、普段便利な生活しかしていない人だと、あまり極端な環境の変化には耐えきれないかもしれません。
 体験していること、経験したことについては、多くの場合予測ができて対策もでき、何とかしようと思えるものです。
 ですが、体験も経験もなくいきなりそういう生活に放り込まれると、ひょっとするとその生活そのものに耐えられないかもしれません。
 普段の生活の中で「ちょっと不便な日」などを作って、例えば水道を使わない日や台所を使わない日などをやってみると、いろいろな気づきがでてくると思います。
 アウトドアでのキャンプもよい体験になるでしょう。
 日常生活だけではなく、不自由さにも慣れておくことで、いざ災害の時に生活の質は落ちても気持ちを落ち込ませなくてもすむのではないかと思います。

【活動報告】高津小学校の防災クラブを開催しました

去る1月18日に益田市立高津小学校で防災クラブを開催しました。
今回は「正解のない答え探し」と題して避難所に届いた収容者よりも少ない食料品の受け入れをするかしないか、するならどうやって分けるのかを考えてもらったり、「避難所は必要? いらない?」という議題で、「いる」と「いらない」にわかれてそれぞれ考えて発表してもらいました。
災害時の対応では、100%の正解はほとんどなく、どちらがよりましかといった判断をすることになります。
命が守られるための説明がきちんとできるなら、どのような選択肢を選んでも決して間違いではないことがわかってもらえると嬉しいなと思います。
参加してくれた子ども達、そして担当の先生、手伝ってくれたスタッフにこころから感謝申し上げます。
なお、今回は写真を撮るのを忘れてしまって写真がありません。文章だけであることをお詫びします。

電源確保を考える

蓄電池。準備しておいて損はない。

 被災した後、生活の質をなるべく落とさないようにしようとすると、どうしても電気が必要になります。
 ただ、電源の回復は大規模災害になればなるほど遅くなるものですから、あらかじめ何らかの準備をしておいたほうがいいと思います。
 手っ取り早いところでは、蓄電池と太陽光発電パネルの組み合わせを用意しておくこと。
 保管できるサイズだと、大した発電量にはなりませんが、それでもスマートフォンの充電やラジオやテレビの電源などに使うことができます。
 お日様があれば充電が可能なので、一組準備しておいてもいいかもしれません。
 避難所や住宅だと、発電機があると電源はかなり安定します。
 エアコンや電子レンジなど大きな出力が必要とされるものは難しいですが、家電がある程度まとめて使えるのは大きいです。
 手回し発電機などの人力発電機を準備されている方もいますが、実際に使えるかというとかなり厳しいのではないかと思います。
 電気を作る方法を準備しておくことと、自分にとって必要最低限の電化製品にはなにがあるのかということ、そしてそれらの電気使用量をきちんと確認しておいて、いざというときに慌てないようにしたいですね。
 ちなみに、太陽光発電システムが最初から組み込まれているおうちには、非常用電源コンセントが用意されている場合があります。
 太陽光発電システムの蓄電池からの給電をする場合には、非常用電源コンセントにつながないと使えませんので、取り扱いには気を付けてください。

ホイッスルは身に着ける

中に球があるものよりも棒状のものの方が使いやすい

 1995年1月17日午前5時46分、淡路島北部を震源とするマグニチュード7.3の地震が起きました。
 これが阪神淡路大震災で、神戸などでは多くの古い家が倒壊し、火災が発生してしまいました。
 倒壊した家屋の下敷きになった人たちは家族や知人、周辺の人などによって救助されましたが、救助が間に合わずに亡くなった方も大勢いました。
 もしも下敷きになって生存していた人が自身の居場所を救助者に教えることができたなら、ひょっとしたら救助された人はもう少し多かったかもしれません。
 そこで非常用持ち出し袋など災害時に用意すべき持ち物にホイッスル(笛)が入るようになりました。
 人の声は思ったよりも届きません。マスクをつけ、パーテーション越しに話している人の声は非常に聞きにくいと感じたことはありませんか。
 災害時には、マスクとパーテーションよりもずっと分厚い壁や屋根、家具といった障害物を超えて救助者に自分が生きていることといる場所を教えなければいけませんが、どんな大声でもうまく届くことはほとんどありません。また、大声を出し続けることでのどを痛めたり、声が出せなくなったりするリスクもあります。
 そのため、人の耳に届きやすい音が出せるホイッスルが重要なアイテムになるのです。ホイッスルは普段使いの鍵ケースや首などからぶら下げて、できる限り身に着けるようにしてください。
地震はいきなりやってきますので、揺れ始めてからホイッスルを探そうとすることは無理です。
 できるだけ身に着けて、いざというときに使えるようにしておくこと。
 ちょっとした災害への備えですが、誰にでもできることです。
 今からの準備でも決して遅くはありません。
 普段持ち歩くものの中にホイッスルも加えておいてくださいね。

避難所には何がある?

 結論から言えば、ほとんどの避難所には何もないと考えておいたほうが無難です。
 避難するタイミングや移動方法、避難先を想定してさまざまな訓練をしていると思いますが、避難した後、つまり避難所内での過ごし方についての想定はどうでしょうか。
 非常用持ち出し袋をきちんと準備できているか、その中で優先すべきものがきちんと入っているかは避難所に入ってから後の生活の維持に密接にかかわってきます。
 避難所に準備されているものがあればいいのですが、そうでないなら、しっかりと自分の生活が維持できるだけのものは持ち込む必要があるのです。
 そこで、あなたが避難することにしている避難所には、避難者のためにどんなものが準備されているか知っていますか。
 最初に書きましたが、身体一つで避難所に避難しても、多くの避難所には何もありません。基本的に避難所には物資は集積されていない場合が多いのです。
 地域によってはしっかりとした備蓄を備えている場合もありますが、そういったものは極めてレアケース。
 飲むもの、食べるもの、寝るものなど、生活を維持するのに必要なものは自分で持ち込まなければ着の身着のままで過ごすことになることに注意してください。
 そして、大規模災害になると、発災後に救援物資が届くのは早くても2~3日後。国は7日間分の備蓄を準備するように推奨しているくらいです。
 避難先で使用するものは自分で持ち込むこと。そして、早く避難してしまうことが大事です。
 避難所の状態にもよりますが、避難レベル3「高齢者等避難開始」の場合、まだ自動車による避難ができる場合が殆どだと思います。
 車であれば、自力で運ぶよりも多く荷物が運べ、収納場所にも困りません。
 避難所には何もないことが前提で、自分の命をつなぐための資機材について準備しておくようにしてください。

【活動報告】研修会「ハザードマップの読み方を知ろう」を開催しました

 去る1月14日、益田市の市民学習センターにおいて研修会「ハザードマップの読み方を知ろう」を開催しました。
 当日は2名の方にご参加いただき、益田市のハザードマップを使って実際にそのマークのあるところではどのような出来事が起きるのかについて、映像を交えながら一つずつ確認し、なぜこんな風に書かれているのかなどについて雑談を交えながら研修しました。
 ハザードマップを読むことは災害対策の基本になる部分ですが、表示されている中身が理解できていないと単なるデータの書かれた冊子にしかすぎません。情報が読み取れると、備えなければいけない災害やいざというときの避難経路、そして普段行き来する場所の危険性まで理解できるようになりますから、興味のある方はハザードマップを読む前に最初の凡例をしっかりと読み込んでみてください。
 これから先も機会があればまたやってみたいと思っていますので、もし興味がある方がおられたら、またのご参加をお待ちしています。
 今回ご参加いただきました皆様に厚くお礼申し上げます。

防災はトップで決まる

 普通の仕事と違って、防災はマイナスの状態をできるだけ0に近づけるというあまり建設的にみられない仕事になります。
 そのため、多くの組織では「重要ではあるが優先度が低い」という状態に置かれていて、いざ災害になって大慌てすることが非常に多いです。
 特に中小企業や施設などでこの傾向が強いのですが、防災を確実に実施するためには、その組織のトップが防災についての意識付けをしっかりと持って「防災をやる」という意思を明確にし、しっかりとした指示を出す必要があります。
 組織の構成員がいくら防災が必要だと動いていても、トップにその気がなければ他の人がやろうという気になりません。
 逆に言えば、トップがやる気になれば防災は驚くくらい一気に進みます。
 自分の組織で死者やけが人を出さないため、そして事業をしっかりと続けるために、日常の仕事と同じか、あるいはそれ以上の必要性を意識して、組織の構成員の方に意識付けをしてほしいと思います。

避難訓練は定番化しない

 学校や施設の避難訓練では、だいたい毎年同じような内容が繰り返されていることが多いです。
 それだけ重要ということもいえるのですが、内容も完全に同じになってしまうと、それが当たり前になって本番では右往左往することも出てきます。
 特に想定シナリオが共有化されている場合には、そのシナリオに従って訓練を実施しないと怒られることもよくあり、変更する手間を考えると、結局毎年同じような訓練になってしまいます。
 それを防ぐためには、シナリオは参加者には共有しないことが大切です。
 いつ、どのような想定で何が起きるのかまでは共有してもいいと思いますが、具体的な行動については事前に決められているはずですから、シナリオがなくてもそのとおりに行動できると考えておきます。
 そうすることによって、落ち着く先がわかりませんので最後まで緊張した状態で訓練を行うことができると思います。
 まだ、どうしてもシナリオを共有する必要があるのであれば、その中にサプライズを組み込むことをお勧めします。
 例えば、けが人が発生しているや職員の数が不足しているなど、少し意地悪な想定を準備することで、シナリオがあってもかなり緊迫した訓練ができます。
 実際のところ、訓練をしっかりすればするほど行動も素早くなって安全も確保されやすくなるのですが、いつも同じ想定だと、異なる条件で本番になったときには相当慌てることになってしまいます。
 避難訓練では予定調和は必要ありません。トラブルがなく終わったとしたら、想定になにか大きな問題があったのではないかと考え、訓練を計画していくことをお勧めします。

【終了しました】ワークショップ「マイタイムラインを作ろう」を開催します

 来る1月21日10時から益田市民学習センター103会議室で、ワークショップ「マイタイムラインを作ろう」を開催します。
 マイタイムラインは、日本語に直すと「私の行動計画」になり、災害時における自分の行動計画をあらかじめ決めておくことで、いざというときに何も考えずに行動できるように準備しておくものです。
 マイタイムラインは、よく「私の避難計画」と言われることがありますが、対象は避難だけではありません。
 品物の備蓄や確認、ライフラインが寸断された場合の対策などもこのマイタイムラインで決めておく必要がありますので、ほとんどすべての人が作っておいたほうがいいものです。
 今回は、ハザードマップを確認したうえで、対応しないといけない災害や行動について一つずつ確認をし、自分自身に必要とされる行動計画を実際に作ってみます。
 準備の都合上、事前に申し込みをお願いしますので、興味のある方や実際に作ってみたい人、そしてどのように作るのかを知りたい方のお申し込みをお待ちしております。