経験と被災生活

炊飯器以外のご飯炊きだけでも立派な経験になる。写真はビニール袋炊飯の一コマ。

 災害が起きた後、ある程度環境が落ち着いてくるまでは生活が激変することが多いです。ライフラインの確保や家屋、周囲の片づけ、職場の片づけや業務の復旧など、普段以上にさまざまなことを同時に行わなければなりません。
 生活の質も、蛇口をひねると水が出る環境から給水所まで水を取りに行くことになったり、オール電化だったのにたき火などで暖を取り、調理したりと、一気に数十年も過去に戻ることになってしまいます。
 そういった生活に耐えられるかどうか、つまり過去の経験の中でそれに似た状況になったことがあるかが大きなカギになるような気がしています。
 例えば、アウトドア遊びをよくやる人だと、環境が変化してもあまり気にならないかもしれません。
 疑似的に不自由な環境を作り出して体験していれば、どのようなものかが予測できるのであまり途方にくれることはないと思いますが、普段便利な生活しかしていない人だと、あまり極端な環境の変化には耐えきれないかもしれません。
 体験していること、経験したことについては、多くの場合予測ができて対策もでき、何とかしようと思えるものです。
 ですが、体験も経験もなくいきなりそういう生活に放り込まれると、ひょっとするとその生活そのものに耐えられないかもしれません。
 普段の生活の中で「ちょっと不便な日」などを作って、例えば水道を使わない日や台所を使わない日などをやってみると、いろいろな気づきがでてくると思います。
 アウトドアでのキャンプもよい体験になるでしょう。
 日常生活だけではなく、不自由さにも慣れておくことで、いざ災害の時に生活の質は落ちても気持ちを落ち込ませなくてもすむのではないかと思います。