死ぬところを想像してみる

 災害の研修をするときには危険から身を遠ざけることの大切さを説明するのですが、その時に「自分が死ぬかもしれないと思っているか」を聞くことがあります。
 災害の研修会で自分の身を守るための話を聞いているのに、自分が死ぬかもしれないと考える人はまずいません。
 ごくたまにいることがありますが、そういった人はものすごく真剣に研修を受講しています。
 人間の特性なのか、なぜか自分だけは死なないと思い込んでいる人が非常に多いのが気になるのですが、被災したとき、さまざまな理由から自分が死んでしまうことは当然考えられます。
 でも、楽観思想なのか周囲の人はだれか死ぬかもしれないが、自分は死ぬというイメージがつかないというのが実際なのでしょう。
 正直なところ、災害で死んでしまうときには、その死体はあまり人がみることができる状態にはなっていません。
 そういう状態がイメージできればもっと真剣に考えるのかもしれませんが、見ていないものや体験していないものをイメージするのはかなり難しいものです。
 でも、自分が死ぬところをイメージしたとき、どんな死に方をすればいいのかについて、一度考えてみてもいいのではないかと思います。
 誰もいつか死にますが、その原因が災害にならないように、災害で死んでしまうかもしれないという想像をしながら研修会や訓練に参加してくれるといいなと思っています。