マニュアルとパクリ

 学校や施設には必ず災害対応マニュアルが備え付けられているはずですが、そこにお勤めの方でそれを読んだことがある人はどれくらいいるでしょうか。
 マニュアルというのは、作業手引きのことですから、読んで中身が理解できるようになっていないと役に立ちません。
 ところが、作られたマニュアルを見ると、本当にこれで大丈夫なのかと思うものもたくさんあります。
 とあるところでは、なぜ災害対応マニュアルが必要なのかということや、作成した意義などが延々と書かれているのに、実働の部分では『管理者が判断する』としか書かれていないものがありました。
 確かに最終判断や起きたことの責任は管理者が行うべき性格のものですが、得てして管理者不在のときに災害対応マニュアルを見たいといけないような大きな出来事が起きたりします。
 災害対応マニュアルは「誰が」「どのタイミングで」「何を」判断し、「どこまで」「どのように行動するのか」について、誰が責任者になったとしても判断が可能なものを作っておかないと意味がないことになります。
 また、非常に良くできているマニュアルもあったのですが、その施設には無いはずの高層階からの避難手順が記載されていて、どこからか内容を拝借してきたのだなとわかることもありました。
 パクることは著作権法で定める範囲を守る限りはまったく問題ありません。
 よいものはりどんどんまねるべきですし、そうすることでより現実的なマニュアルが整備できます。
 ただ、パクった中身はしっかりと確認しておかないと自分のところとは合わない場所が必ず出てきますし、いざ本番でトラブルになるのも、そういったところだったりします。
 マニュアルは現実の行動に即して作成し、パクったら中身を必ず自分のところにあわせてカスタマイズすること。
 そして、出来上がったら実際にそのとおり行動してみることで、マニュアルにあるもの、ないもの、追加記入がいるもの、削除すべきものが次々に出てきます。
 防災訓練を経て、災害対応マニュアルをより実戦に即した形にしていくことが大切なのです。
 どこから拝借してきてもいいのですが、それをそのまま使ってお茶を濁すのでは無く、自分のところにあった内容に書き換えていく手間は惜しまないようにしてほしいと思います。