おかげさまでこのサイトも4年目を迎えることができました。
ご支援下さっている皆様に厚くお礼申し上げます。
任意団体として勝手連的に始めた防災活動が、周囲の応援を得てNPO法人化し、現在活動できているということはとてもありがたいことだと思っています。
今後とも変わらぬご支援をよろしくお願いいたします。
ところで、最近焚き火がブームだそうですが、焚き火をするときには、火の燃え広がりに気をつけることはもちろん、あなたが着ている服についてもちょっとだけ気をつけて下さい。
冬場にはフリースなどのもこもこした温かい服を着ることがあると思いますが、火を使うときには、できるだけ外側がもこもこしているものや化学繊維は避け、しっかりとした綿で出来ているものを羽織るようにしてください。
火の粉がふわもこした部分に飛び散ると、そこから引火して火だるまになってしまうことが起こり得ます。
もし、万が一火がついたなら、すぐに地面を転がって火を消して下さい。転がれないような地面の場所では火は使ってはいけません。
それから、もし焚き火をするのであれば、大きな火ではなく小さな火を作るようにしてください。
大きな火はあぶられると熱くて近づけませんが、小さな火は身体を芯まで温めてくれます。
実は、あなたが火との付き合い方を知っているかどうかで、あなたが被災した後の生活レベルにかなりの差が出来ます。
防災教育の中でも、火の取り扱い方は結構重要だと思っていて、また、活動の中で取り入れていきたいと思っています。
4年目も、どうぞよろしくお願いします。
月: 2021年12月
輸送を軽視しない
災害が発生して大規模な被害が発生すると、国からプッシュ式と言われる支援物資のお届けが行われます。
必要なものを必要な場所へ限りなく早く、というのがこのプッシュ式の目的ではあるのですが、残念ながら被災地までは届いても被災者までは届かないというのが殆どの自治体の現状です。
支援物資は被災者に届かなければ意味がありません。
では、被災地まで届いた支援物資はどうやって被災者に届くのでしょうか。
通常は中間物資集積場所(以下「デポ」といいます。)が作られて、国からの支援物資はそこへ届きます。
そして、そこで仕分けされて各避難所などの持つ物資集積所(以下「地区物資集積所」といいます。)へ送られ、そこでさらに仕分けされて被災者に届くことになっています。
それでは、これをシステム的に設計している地方自治体の防災計画がどれくらいあるかというと、非常にお寒い状況で、デポと物資集積所の輸送手段については全く考えていない地方自治体もあります。また、考えている自治体でも、宅配業者などと協定を結んでいて、その輸送力を使って輸送する計画にしているので、業者に丸投げ状態。
業者はいつの段階でどこから何がどのようにくるのかを把握できていなければ、受け入れ計画を立てられませんし、業者の施設をデポとして利用する計画になっている場合、発災時点でその施設の中に置かれている荷物をどのようにするのかは考えられているのでしょうか。
デポになるであろう施設は防災計画に明記されていますが、デポから地区物資集積所への輸送手段は特に書かれていないことが非常に多いのです。
被災地でまず最初に不足するのは輸送力ですから、届けられるのを待つのではなく、最悪デポまで受取に出向くような動きが必要になってくるかもしれません。
田舎の場合であれば、最悪地元の軽トラックなどを使うことが可能だと思いますが、それにしても事前にその軽トラックを動かすための燃料や保険、何か起きたときの補償などを決めておかないと、後で揉める元になります。
物資は放っておいたら勝手に運ばれるわけではありません。
デポと地区物資集積所、そしてそこから被災者の手に渡るまでの輸送手段についても、自治体の防災計画や地区防災計画の中で考えておきたいですね。
避難の場所を考えておく
ハザードマップなどに記載されている避難所や避難場所に避難するのに自動車がないと無理、というおうちは多いのではないかと思います。
特に地方に行けば行くほどその傾向が強くなるので、自治体が開設する避難所や避難場所に避難を考えているのであれば、避難レベル3が発表された時点で避難を開始しないと、避難できなくなる可能性が高いです。
でも、あなたの住んでいる場所に災害発生危険箇所、いわゆるハザードがないのであれば、家にいた方が安全です。
また、遠くにいかなくても、近くに安全な場所がないかを確認しておいて、いざというときにはそこへ避難するのもいいと思います。
避難するための施設がなければ、その安全な場所へ車で移動して、車で過ごしてもいいと思います。
車を避難施設と考えて、車の中に防災グッズを載せておけば、避難先でも安心して過ごすことができると思います。
避難は大丈夫?
気象災害が起きそうな予測が出ると、被災する可能性のある地域の人に対して避難指示が出されますが、あなたは自分の避難先について決めていますか。
また、避難するための経路と方法をきちんと決めていますか。
自治体から避難指示が出されたときにいくつかの避難所が避難先として開設されますが、お住まいの場所によってはその避難所に避難するのに、例えば氾濫するかもしれない川にかかっている橋を越えたり、土砂崩れするかもしれない崖の横を通るなど、発生が予測されている災害で危険な状態になりそうな場所を通らなければいけない場合ががあります。
避難レベル3での早めの避難開始であれば危険度は低いですが、避難レベル4での避難となると、避難経路に危険が生じる可能性について考えておかなければなりません。
そして、避難は避難所に行くために行うのではなく、あなた自身の身を守るために安全な場所へ移動するものです。
もしも自治体が開設した避難所に行くのに危険が伴いそうなら、近くの安全な場所を選んで避難してください。
また、そもそもあなたに避難が必要な災害なのかも、ハザードマップや地域の地図を見て確認しておくようにしましょう。
日本は災害列島であり、どこにいてもなんらかの災害は必ず起こりえます。
何も無いときだからこそ、非常時に備えて地図を見て、避難先や避難経路を決めておくようにしてください。
おしりふきは万能です
おむつ替えの時におしりをきれいに吹くために使うおしりふき。
防災セットには必需品の一つではないかと筆者は考えています。
ウエットティッシュでもいいのですが、おしりふきは厚手の不織布を使っているので、非常に破れにくくしっかりと使えます。
ウエットティッシュと同じように、水や消毒用アルコールなどが染みこませてあるのですが、肌触りがよく、湿り気があるのに吸水力もあるので、非常に多用途に使えて便利です。
例えば、身体を拭くのに使ったり、テーブルや食器類を拭いたり、もちろんおしりを拭くときにも使うことができますし、使った後も快適です。
防災セットに入れるおしりふきは、多目的に使うことを考えて影響の少ない水だけを染みこませたものを使うようにします。
本来のお尻ふきが必要な人は、一日で一パック程度は使ってしまうようですが、ちょっとした用途ならば一人最低一袋あれば支援物資が届くまでのつなぎには充分だと思います。
名称で抵抗のある方もいるかもしれませんが、何かを拭くという行為には最適のおしりふき。
防災セットだけでなく、普段使いでも便利な気がします。
非常食は必ず試そう
あなたの非常用持ち出し袋やご家庭に準備している非常食にはどのようなものがありますか。
恐らくは人の数だけさまざまな準備があると思います。
では、あなたはその準備している非常食を食べたことがありますか。
非常食というのは、文字通り非常事態に陥ったときに命を繋ぐための食料として準備されているもので、味は二の次という考えの方も多いと思います。
でも、非常食を食べないといけない事態というのは、気分的に不安になっていたり、落ち着かない状態になっていることが殆どですから、味の問題というのは実は結構重要なことだったりします。
非常食を食べて、自分の好みの味でなかったり、場合によっては自分が食べられないものだったりしたときには、相当がっくりしてしまうと思います。
非常時だからこそ、自分の大好きな味を食べて気力や体力を維持することが必要なのですが、非常事態からは縁遠い生活を送っていると、あまりそこらへんは意識されていないのではないかと思います。
例えば、アルファ化米で考えてみましょう。
以前五目ご飯の食べ比べをしたことがありますが、メーカーによってかなり味が異なっていて、それが自分の好みの味かどうかは食べた人によって意見が異なることがありました。
つまり、事前に食べてみないと口に合うかどうかがわからないということなのです。
非常食だからといって、期限切れまで食べずに保管しておくと、いざというときに自分の思った味では無くてがっかりすることがあると思います。
調達するときに、家族全員でちょっとずつ食べ比べてみて、あなたやあなたのご家族にあう味を探してみて下さい。
非常食はただ食べるだけでは無く、気力や体力を維持するためにとても大切な働きをしているものです。
だからこど、少しお値段は張りますが、さまざまなものを食べ比べてみて、自分にあった製品を見つけておくと安心ではないでしょうか。
アルファ米を試して見るその1(当サイトの該当ページへ移動します)
地震のときの家具の危険度を下げよう
地震が続いていますが、あなたの家の地震対策は大丈夫ですか。
ご家庭や職場の地震対策の重要なものとして家具の固定がいわれているところですが、実際のところ、さまざまな事情から固定が進んでいないようです。
ただ、家具を固定できなくても、倒れてくるときに人的な被害を防ぐことは可能です。
それは、家具の向きを人のいない方向に向けておくこと。
地震の時に倒れてしまうような家具は、家具の面の大きさが異なっているものが殆どです。
つまり、家具の狭い面を人がいる方向からずらせば、家具が倒れてきても怪我はしなくてすむということになります。
これは家具が動かせなくても、人がいる空間を動かせばいい話なので、さほと手間無くできるのではないでしょうか。
また、家具の固定ができない理由の一つによく挙げられているのが家具の上に荷物を置く必要があるからというのがあります。
この場合には、天井と家具の間を荷物で完全に埋めてしまっておけば、その家具が倒れる確率はかなり下がります。
家具が倒れるのは揺れを受けた家具が動き出してしまうことによって起こるわけですから、荷物で家具が動かないようにしてしまえば、転倒する確率はぐっと下がります。
ポイントは、天井と家具との間に隙間を作らないことと、家具の上に置く荷物は滑りにくいようにしておくことです。
一番の理想は家具を撤去してしまうことで、二番目が家具の固定ですが、家具が倒れて怪我をしないようにしておけばとりあえずは大丈夫です。
最後に、家具をきちんと固定していても、中のものが飛び出さないようにしておかないとやっぱり危ないですから、家具の対策をするのにあわせて、中身が飛び出さないような処置もあわせてやっておくと良いと思います。
多目的ってなんだろう
最近あちこちで目にする「多目的」な設備。
有名なところでは「多目的トイレ」があります。
本来は障害のある方も障害のない方も、男性も女性も誰でも使えるトイレという意味なのですが、多目的の意味をはき違えている人もいていろいろと困ったことが起きたりもしています。
それはともかく、災害が起きて避難所が設置されると、やたらと多目的を主張する設備が増えてくるのが困りものです。
食堂兼交流スペースくらいなら全然問題ないのですが、よくあるのが、授乳室とおむつ交換室、それに更衣室が兼ねられているもの。
時間がかかるものがセットにされていると、いつでも何かで使用中になって、他の目的で使いたい人が困ることになってしまいます。
優先順位をつけるといっても、授乳とおむつ交換と着替えの優先順位をどうやってつければいいのか、また、優先する事態で待っている場合には入っている人を追い出すのかなど、多目的であるか故の問題が発生するのです。
利用目的のはっきりしているものや利用者が多いものは多目的にするべきではありません。
目的ごとに部屋を仕切って、その目的のみに利用すること。
そうすることで、同じ目的の利用者が複数同時に使えたり、違う目的の人から文句が出たりすることもありません。
多目的で問題ないのはトイレだけ。
避難所の設計時にこのことを頭の中においておくとよいと思います。
【活動報告】高津小学校防災クラブを開催しました
去る12月1日、益田市立高津小学校で第7回の防災クラブを開催しました。
今回のテーマは「防寒着を作る」。
大きなビニール袋と新聞紙を組み合わせると、保温機能が高まって身体の熱を保てるという説明をし、続いて大きなビニール袋を使って簡易防寒着を参加者の皆さんに作ってもらいました。
ビニール袋とはさみの相性が悪かったらしく、うまく切れない人が続出し、びりびりに破けてしまったビニール袋を養生テープで補修し、また破けてしまいと、かなり混乱した状況になってしまいました。
中には新聞紙でかぶとを折ったり、覆面を作る子も現れてと、いつもの工作風景が展開されたのですが、去年と異なり、今年は割とスタンダートな防寒着が揃いました。
空気を保存する新聞紙と外部の冷たい空気を遮断するビニール袋。これをうまく組み合わせることで体温を保持することができるのですが、今回参加してくれた子ども達にうまく伝わったかどうかは、ちょっと疑問が残るクラブ活動となりました。
もう少し上手に内容を伝えられるようにならないといけないと反省する回でした。
いつも賑やかに活動してくれるクラブの子ども達、そしていつもお世話になっている担当の先生に感謝します。
避難所は健常者しか避難できない
大規模災害が長期化すると、避難のための場所が生活のための場所に変わります。
そういった避難所でよく観察してみると、避難している方がほぼ健常者だということに気付くと思います。
妊産婦や赤ちゃん連れ、身体やこころに病気を持っている人を見かけることはほとんどないと思います。
避難所で過ごす人達は、災害前の生活と比すと自分の思ったようにならないことから大なれ小なれこころに不満や不安を持っています。
それが自分の常識の外の事態に出会うと、その対象者に対して言葉や物理的な暴力が振るわれ、危険を感じた人は避難所から退去することになります。
例えば、乳児は泣くことでしか自分の意思を伝えることができません。おなかが空いたり、おむつが濡れているだけでなく、不安を感じたときにも大声で泣くのです。
その泣き声は、普段鳴き声に接することのない人の耳にはものすごく耳障りに聞こえ、なかでも不満や不安を押し殺しているような人にとっては格好の攻撃材料になってしまいます。そしてそれが続くと、乳児を持つ親は危険を感じて退去することになり、それが続く結果、避難所は健常者だけになってしまうのです。
同じ事が障害をもつ方にも言えます。結果として、本来は避難が必要な人が避難所を追い出され、避難しなくても生活できる人が避難所を占拠するという困った状態になるのです。
現在避難レベル3で高齢者や障害者、乳幼児などを持つ親は避難するようになっていますが、そういった人達は避難準備を始めてから避難ができるようになるまでに時間がかかります。
そして避難所に避難したときには健常者で溢れていて入れないということもよく起きます。
そのため現在福祉避難所を避難所開設と同時に設置して支援が必要な避難者を専門に受け入れるような整備が進められているのです。
地方自治体の中には、この福祉避難所の設置が地域に混乱をもたらすと消極的だと聞きますが、役割をしっかりと決めて説明しておくことで、無用な混乱が起きることは防げると思うのですが、あなたはどう考えますか?