【お知らせ】ますだすまいる通信にご紹介いただきました

 益田市市民活動支援センター様が令和3年4月に発行されたますだすまいる通信第92号で、当研究所が3月27日二条公民館様からご依頼いただき講師をさせていただいた研修会を取り上げていただきました。
 当研究所の研修内容について第三者の目から見られた研修概要が掲載されていますので、どのような内容だったのかに興味のある方は、是非一度ご覧下さい。

ますだすまいる通信92号(益田市のウェブサイトへ移動します)

【活動報告】有害生物への対応作業を行いました・その3

 4月7日から対応をしているイノシシ対策ですが、4月18日の点検の際、依頼人様から現在の状況についてお知らせをいただきました。
 それによると、一時期来なかったイノシシですが、現在は深夜~早朝にかけて様子見に現れているとのことで、動きを見ているとやはり餌を探しているように見えるとのこと。
 餌に釣られてきているのであれば、餌を追加することによって捕獲、または忌避させることができるのではないかという話になり、一般的にイノシシが好むと思われる少しにおいの強い餌を追加で設置してみました。
 環境の変化にイノシシはかなり敏感ですが、興味を持って檻にかかるか、もしくは怪しんで来なくなるか、しばらく様子見が続きます。
 有害鳥獣対策において檻を出すと最初にかからなければ長期戦になることが多いので、定期的に点検・監視を行いながら対策をしていきます。

どうして避難命令が存在しないのか

 災害対策法では、「避難準備」「高齢者避難開始・避難準備」「避難勧告・避難指示」という風にレベルに分けて避難に関する具体的な行動が決められています。
 ただ、ちょっとだけ注意して欲しいのが、巷でよく言われている「避難命令」は災害では存在しないことを覚えておいてください。

大雨時における自治体の警戒レベルと発表基準、住民に期待される行動の一覧表。令和3年6月頃にはレベル4が避難指示だけになる予定。

 これはどういうことかというと、災害時における避難の判断は各自で行うべきという考え方がベースにあるからです。
 例えばA地区に避難命令を出したとします。そうすると、A地区の住民の全てに一律に避難する義務が発生するため、安全な場所にいるはずの人が避難をするときに災害に巻き込まれたりする可能性が出てきます。
 行政が発表する避難情報は面である該当地域全体に出しますが、実際の避難はその地域に住んでいる各々が周囲の状況などを見て判断する必要があるため、あえて命令になっていないのです。
 つまり、避難は誰かに言われてするものではなく、自分の判断で決定をするものなのだということです。
 災害時の避難はあなた自身が主役であって、決してお客様ではないのです。
 災害対策で一貫して決まっているのは、さまざまな行動決定権は各個人が持っていて、最終的な責任も各々がとると言うこと。
 つまり、最終責任は自分にあるということを忘れないでくださいね。

日本で地震がよく起きるわけ

 地震の回数と頻度では、日本は恐らく世界で一番多い国なのではないかという気がします。
 ただ、どうして地震が多いのかについて考えてみたことがありますか。
 その理由の一つが、日本が今の形になった理由でもあるプレートの問題です。
 簡単な作図になりますが、まずは次の絵を見てください。

 これは日本列島と陸の乗っているプレートの関係を示すものです。
 かなり適当な日本地図の上におおざっぱに線を引いたものなので実際には自分で確認して欲しいと思いますが、日本列島は4つのプレートがぶつかっている場所であることがわかればいいと思います。
 そのうち、矢印を確認していただきたいのですが、これがプレートが押しつけられている方向を示しています。
 太平洋プレートとフィリピン海プレートが北アメリカプレートとユーラシアプレートに押しつけられていることがわかると思います。
 そんな馬鹿なと思った方は、国土地理院のウェブサイトで地面がどれくらい動いているかを確認できますので、是非一度ご確認ください。
 さて、押しつけられたプレートは、そのうちに崩壊してかかっている力が一時的に小さくなります。この崩壊時に地震が起きるというわけです。
 下の図面で、海溝部に潜り込んだプレートがわかると思いますが、これが摩擦の力で反対側の陸地を引っ張っていきます。


 そして限界点を超えた瞬間、陸地か海側かのどちらかが崩壊して力を逃がすのです。
 力が均等にかかり続ければ崩壊するタイミングも極端に大きくずれることはないので、ある程度周期的に地震が起きることが予測できます。
 それから考えると、プレートの移動が収まらない限りは日本と地震は切り離せない関係になることがわかると思います。
 地震大国日本は、その成り立ちからして地震から逃げることはできません。
 絶対に地震が起きない場所はないのですから、どこに住んでいても地震には備えておいた方がよいと思います。

震度で被害を予想する

 地震が毎日のようにあちこちで起きていますが、備えはされていますか。
 おうちの耐震化、内部の家具や棚などの耐震化など、地震に関して言えば事前準備でその後の復旧作業がずいぶんと変わってきます。
 「段取り7割」や「段取り8割」という言葉がありますが、地震はまさにそのとおりで、いざ本番が起きたときにはその時点で全てが終わります。
 ところで、震度と被害の関係について考えたことがありますか。
 地震でさまざまな震度が発表されますが、その基準は次のようになっています。

 この表をみてわかると思いますが、震度5弱が黄色、震度6強で赤になっています。
気象庁が作成する色つきの表では基本的にこの色が使われていて、黄色は「注意」赤は「危険」と考えます。
 ちなみに紫は死者が出ている可能性があるときに使われる色だと思ってもらえばいいと思います。
 そこから考えると、黄色は「もしかしたら何か被害が出るかも」のスタートライン、そして赤では「何らかの被害がほぼ確実に出ている」、つまり赤表示になっている震度6強以上では何らかの災害がその地域で発生したと考えてよいでしょう。
 紫や濃い紫では確実に被害が出ていると考えてよい状況なので、それに対する対策を考えておかなければなりません。
 ところで、震度とセットでよく出てくるマグニチュード。これは震源のエネルギー量を示すもので、おおざっぱに言うとマグニチュードが一つ上がると、エネルギー量は30倍になります。
 つまり、震度3は震度1の2ランク上になるので、30倍×30倍=900倍の力が発生したと言うことになります。
 計算上はマグニチュード9以上では地球が割れてしまうことになるので、マグニチュードとしては最大が9となっているわけです。

マグニチュードと震度の関係を表す図。震源は一つだが、地盤や伝播の仕方によって同じ距離でも震度は異なる。

 いろいろと書きましたが、震度5弱以下であっても耐震化していない場合にはものが崩れたり倒れたりすることがありますので、まずはおうちの中の耐震化、そしてできれば建物の耐震化もしておいてくださいね。

水を持ち歩く

ペットボトルにもさまざまなサイズがある。小は180mlからあるらしいので、一本カバンにいれておくといろいろと便利。

 被災して困ることはいろいろとありますが、どうにも我慢できないのは排泄とのどの渇きです。
 排泄は最悪その辺の陰で失礼することができるとしても、のどの渇きはどうにもなりません。
 特に保水力のない子どもとお年寄りに関して言えば、水の切れ目が生命の切れ目になってしまう可能性もあります。
 対策としては、普段持ち歩くカバンの中に水筒や水のペットボトルを入れて持ち歩くことくらいしかないと思います。
 そんなにびっくりする量でなくても構いません。自分が持てる範囲の重さの水でいいので、できる限り持ち歩く習慣をつけておくようにしておきましょう。
 無理に長期保存水やペットボトルを買って持つ必要はありません。空きペットボトルに水をいっぱいまで詰めておくと、2~3日はきれいな状態で飲むことができますから、こまめに入れ替えることでお財布にもやさしい災害対策になると思います。
 あめ玉や梅干しなどの酸っぱいものを持って歩くのもいいと思いますが、脱水症を防ぐためにも、自分の呑む水は準備しておきましょう。
 余談ですが、準備した水を災害で使うときには、一気に飲むとすぐに水がなくなってしまいます。
 45分から1時間ごとにキャップ一杯程度を飲むようにして、脱水症状になる前に水を補給しましょう。
 また、少量の水でも定期的に摂取するとある程度は感染症を防ぐことも可能という話もあります。
 お出かけの際にはカバンに水を持って歩くことを、生活習慣にできるようにしたいですね。

行動と価値観

 人の行動には、その行動の元になる価値観が存在しています。
 価値観とは、その人の生き方ですので簡単に変わるものではないのですが、災害のときにはこれが大きなネックとなります。
 水害で水没した地域や台風で被害を受けた地域を見ていると、若い人よりもお年寄りの方が要救助者になっていることが非常に多いと感じています。
 これは「今までの雨でもここは大丈夫だった」という価値観が「避難」という行動をとることを認めなかったということで、その根底には「自分は安全な地域に住んでいる」という根拠のない自信があるのです。
 テレビなどで、70歳代80歳代の方が登場して、「生きてきて今までこんな被害は見たことがない」とよく言っているのですが、過去を紐解いていくと大概の場合何か被害の起きた記録や痕跡が残っているものです。
 ただ、たまたま被害の発生していなかった時期を過ごしてきたからこそ、根拠のない安全神話を自分で作り出してしまったのでしょう。
 「避難すること」がかっこ悪いという考え方もあるようです。「避難して何も無かったらご近所から笑われるから避難しない」という話も聞いたことがありますが、笑いたい人は笑わせておけばいいのです。
 百回避難して何事もなくても、災害が起きそうなら避難するということを繰り返していれば、「あそこはああだから」とそのうちに話題にもならなくなると思います。
 ちなみに、70歳代80歳代の人が「様子がおかしいから避難しよう」というと、その地域の多くの人が避難するということも田舎の災害では聞くことがありますので、判断に迷ったときの年配の人の発言というのは、案外と重みのある発言なのかもしれませんね。
 歴史を紐解いていくと、災害のない穏やかな時期というのは案外と少ないことがわかります。「災害は起きるもの」ということを前提にして、「災害で死ぬのはかっこ悪い」という価値観が広がっていくといいなと思っています。

エマージェンシーシートを考える

百円均一ショップのエマージェンシーシートを広げてみたところ。結構大きいので、大人でもしっかり包まることができるようになっている。

 アウトドアショップや防災用品売り場、百円均一ショップでも見かけることのできる銀色の薄い大きなシート。
 エマージェンシーシートと言われるもので、最近の非常用持ち出し袋にはこれを入れておくように書かれている書籍もあります。
 ただ、同じような大きさなのに、百円均一で百円で買えるものから、アウトドアショップで数千円するものまで、なぜ値段が何十倍も違うエマージェンシーシートが存在するのか考えたことがありますか。
 今日はさまざまなエマージェンシーシートを少しだけ比べてみることにします。
 前提として、同じサイズであるならば値段が高くなるほど重たくなってきます。これはシートの厚みの違いによるもので、これがさまざまな違いをもたらしています。

1.保温能力

エマージェンシーシート本来の目的である、風や外気に体温を奪われることを防ぎ、身体に巻き付けて保温をする使い方です。
当然ながら値段の高いものほど保温力は上がりますが、極端に差が出るものではありません。
エマージェンシーシートと名乗っているものであれば、一応風や外気を防ぎ、体温をシートの中に閉じ込めることができるようになっていますので、そんなに心配はいりませんが、当然厚い方が外気を感じにくいので、快適感はあると思います。
もし両面の色が異なっているのであれば、保温に使うための面は銀色のはずなので、使う前には確認しておいてください。
逆に暑さを防ぐためには銀色の面を外側に向けることになりますので、両面で色の違うものは、基本的に暑さ寒さのどちらにでも使えるということを覚えておいてください。

2.目隠し能力

薄くて持ち運びしやすいエマージェンシーシートは、避難所での生活では、とりあえずの仕切り布として使うことができます。
包まれば中での着替えも可能ですし、何枚かつなげれば簡易テントを作ることもできます。
ここでも厚さが問題となります。薄いものになると透けてしまうため、灯りの位置に気をつけないと何をしているのかが丸見えになってしまいます。
その場合には、2枚以上重ねて使うようにしてください。

3.携行のしやすさ

非常用持ち出し袋などにいれるならあまり影響はありませんが、普段使いのカバンに収めるのであれば、薄くて軽い方が場所を取りません。
こういったときには、アウトドアショップなどのものよりも百円均一ショップのものの方が持ち運びしやすいと思います。
値段と大きさから、防災ポーチなどにセットすることも可能です。

4.カサカサ音

値段が高くなり、厚みが出るものではカサカサ音のしないような加工がされているものが多いです。
逆に百円均一ショップで売られているものではビニール買い物袋のようなカサカサ音がするため、静かな場所だと耳障りかもしれません。

 こういった非常用アイテムは、やはり「性能=値段」となります。高価なものほど性能が高く使い勝手もいいということになります。
 ただ、何も持っていないよりは遙かにマシなので、使うときの特性を知った上で準備しておいてくださいね。

 余談ですが、このエマージェンシーシートは宇宙食などの宇宙関連用品を売っているところでもよく取り扱っています。
 人工衛星の温度変化を抑えるために使われているそうで、そう考えると安いものでもそれなりの保温効果を期待しても良いのかもしれません。
 気になったら、一度使ってみて自分の気に入るものを見つけてくださいね。

【活動報告】有害生物への対応作業を行いました・その2

 先日イノシシ対策についてご依頼いただいた作業の続報です。
 4月7日の説明後、地面にたくさん落ちていたドングリ類については、依頼主様が一生懸命回収され、土に埋もれているもの以外は殆ど片付けてくださいました。
 4月10日に監視カメラを確認したところ、ドングリを回収した後はイノシシが寄ってきていないことがわかりましたが、彼らは定期的にえさ場を確認しにくるため、念のため檻をかけてみました。
 当初研究員始め依頼主様達にもご協力いただき、現地にイノシシ檻を一基展開させていただきました。
 人がかなりばたばたした痕跡が残るので、この後イノシシは出ないかなという気もしていますが、しばらくはこれで様子見をすることにしました。


 檻をかけることは、そこにえさを撒くことになるので、ターゲット以外にもさまざまな動物を不用意に寄せることになってしまうので、設置についてはよく検討を行う必要があると考えています。
 これでイノシシが来なくなれば依頼は終了ということになりますのですが、しばらくは定期的に監視カメラの映像確認と檻の維持管理をすることになりそうです。
 また動きがあれば報告したいと思っています。

【活動報告】真砂の城山で地質と自然観察の学習会を開催しました

まさ土の塊を壊してどんな石が含まれているか調べているところ

 益田市馬谷町では、良質の真砂土が取れることで知られています。
 実は、地質図を見るとこの地域だけ真砂土で構成された少し不思議な場所になっていて、ここだけこの地質になった理由は諸説あってよくわかりません。
 真砂土は花崗岩が風化してできたもので、災害時には、水を含んである瞬間一気に崩れてしまう非常にやっかいな性質も持っています。
 庭土などに使われることから分かるように、水を含み水を保持する能力も持っており、広島などの土砂災害は地質がこの真砂土であったことが一つの原因として考えられています。
 今回選んだ城山と呼ばれる山は別称高嶽山ともいわれていて、中世の頃には城が築かれていたそうです。
 久しぶりに晴天だった4月11日に、会員様と一緒に自然観察、地質観察をしながら山頂まで登山をしました。

 春の山野草であるゼンマイやワラビ、アザミやスミレ、その他の花々を眺め、食べられる山野草の見分け方を確認したり、道ばたのスイバを囓ったりしながら、ゆっくりと登山をし、途中花崗岩でできたコアストーンなども確認。


 結構急な上り坂や城だった頃の堀割、倒木やキノコなどもあって、里山でありながらいろいろと登山の楽しみを味わうこともできました。
 史跡としてはあまり知られていないこの山ですが、山の恵みや土地の形成、そして地域と山が共存していることがよくわかる学習会。
 予定よりは遅れたものの、無事に下山まですることができました。
 今回参加して下さった皆様にお礼申し上げます。