わからないことは聞いてみる

 災害発生後、やらないといけないことがたくさんあります。緊急を要するものから、急がないけれどやっておかないといけないこと、とりあえずやらなくていいことまで、さまざまなものがごちゃごちゃになってあなたに判断を迫ってきますが、
そんなときに限って、優先度をどうつけるべきかの情報を持っていなかったり、何をどうどこへ頼んだらいいのかがわからなかったりするものです。
 そういうときに、処理が進む人と進まない人の大きな違いは、「自分がわからないことが聞けるかどうか」です。
 災害復旧の一歩を踏み出すためには何から手をつけたらいいのかが自分でわかる人など、何度も被災した人でも無い限りはまずいません。どうしたらいいのかがわからなければ、わかる人に聞けばいいというだけのことです。
 災害後には社会福祉協議会、NPOをはじめとするさまざまな団体がいろいろな分野で被災者の助けになりたいと技術や知識を持って被災地へやってきますので、 それらを上手に活用すればいいのです。
 そのためには、まず自分が何に困っているのかをはっきりさせて、それに対する支援や助言がどうやったら受けられるのかを確認します。自治会や社会福祉協議会の窓口、地域NPOなどが御用聞きに回るボランティアも最近は出てきていますので、そういったきちんとした伝手がある人たちに困りごとを相談して助けてもらうということです。
 わからないことを聞くことは恥ずかしいことではありません。「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」ということわざもありますが、わからないことはわからないと素直に教えてもらうことで、それぞれのプロが適切な支援や助言がもらえ、最終的に一人で考えるよりもそうとう早く復旧をすることができるようになるのです。災害の復旧は、まずわからないことをわからないと知ること、そして次にわからないことを教えてもらうこと。これだけで復旧の速度と正確性は飛躍的に上がりますので、わからないと落ち込む前にわからないと声を上げるようにしてください。
 ちなみに、御用聞きボランティアと似たものに必要のない修理を高額で押しつける詐欺グループや、人のいない家を狙ってボランティアのように振る舞いながら活動をする空き巣がいますが、両者の違いはあなたの困りごとにどう答えてくれるかです。あなたのいろいろな困りごとを一気に相談して、きちんと答えて段取りが説明でき、できることできないことがはっきりと言えるなら大丈夫かもしれませんが、そうでなければ、怒るか文句を言うか、それとも脅しにかかるかの行動を取ることが多いですので、その場合には速やかに警察に出動を依頼してください。

避難所の開設と運営責任は誰にある?

 災害における避難所は、それなりの人を収容できるそれなりの大きさの施設と言うことになります。例えば小学校などの学校、ショッピングセンター、工場、体育館などで、そこには普段から管理している人がいて、災害とは何の関係もない業務をしている場合が殆どだと思います。
 で、いざ災害が起きる、または起きそうになると避難所が開設されるわけですが、その避難所の責任者は誰になるのか、考えたことがありますか。
 民間施設、公的施設とも、実は案外とはっきり決められていないのです。
 小さな地区公民館の場合、開設・運営ともに地元自治会で問題ないと思いますが、複数の地区をまとめるような大きな公民館の場合には誰が責任者なのでしょうか? 体育館や文化ホールなど、施設管理を外注しているような公的施設は誰が開設・運営の責任者なのでしょう???
 ほぼ必ず避難所に指定されている小学校や中学校、高校と言った学校施設では、そこの先生方はまず最初に自分たちの教え子を守る義務があり、避難所の開設や運営をする義務はありません。
 防災計画上は自治体職員が派遣されるようになっているはずですが、送り込まれてくる職員は避難所運営はおろか防災について知識のないことがほとんどで、へたすると足を引っ張るレベルの人が多いです。
 避難所が運営されていくうちにはだんだんと秩序ができてそれなりの形ができていきますが、開設当初、誰にするのか決まっていないことがほとんどなので、施設管理者が権限を持たないままに開設や運営をする羽目になり、抜けられなくなってかなりもめることになります。
 避難訓練や避難所運営訓練ではちゃんと責任者を設定して粛々と訓練を進めていくのですが、本番に備えて、施設管理者と避難所運営者がうまく噛み合って施設を回せるようになっているでしょうか。
 東日本大震災で多くの児童や教員が亡くなった大川小学校では、大川小学校が地域の避難所に指定されていたそうで、避難所の設置と開設を巡って教員と自治会役員との間で揉めていたという証言がある(書籍「釜石の奇跡」による)そうですが、避難所が小学校だから「小学校が避難所を開設しろ、逃げるな」というようなことで無駄な時間を過ごしたのではないでしょうか。
 避難所に指定された学校の管理者が避難所開設をすることはやむを得ないのかもしれませんが、学校においてもっとも優先すべきは子どもたちの命であり、避難所の運営ではないはずです。ひどい言い方になりますが避難すべき場所を貸してるだけなのですから、最悪立ち入って欲しくない場所だけ鍵をかけてこどもをつれて別な場所に避難してもよいわけです。その後に避難所が津波で洗われようと水の中に水没しようと、それは避難所に指定したり避難所を開設したりした者に責任がある話であって、施設の管理者が責任を負う話ではありません。
 あなたのいる地域の避難所では、避難所開設と運営の責任者ははっきりしていますか。他に守るべき命をあずかる仕事をしている人に押しつけようとしていませんか。あちこちの防災計画を読んでみても、この部分が明確化されているものはまだお目にかかったことがありません。避難所としてさまざまな施設を指定するのであれば、避難所開設と運営のルールについてもきちんと取り決めておく必要があると思います。
 あなたがもしこういったことを考えたり決めたり助言したり実行する立場にあるのなら、平時にここだけはきちんと決めておいてください。そうすることによって避難所の開設や運営が明確になり、誰もが仕事のしやすい状況を作り出すことができると思います。

防災面から見たインフルエンザ予防接種

 インフルエンザの流行期に入ったというニュース(リンク先:NHKニュース)を聞きました。去年よりもちょっと早いかなと言う感じですが、あなたは予防接種は済ませていますか。いろいろ言われている予防接種ですが、しないよりはしておいた方がいいのは確実なので、ワクチンがあるうちに摂取することをお勧めします。
 インフルエンザに限らず、人から人へうつる感染症は予防接種のできるものはできるだけやっておいた方が安心です。副作用の問題があるのは確かなのですが、災害後に地域の医療体制が崩壊している中で感染症にかかったときの悲惨さは想像したくないですから、副作用よりは万が一の安心を取りたいと考えます。
 さまざまな災害で避難所が開設されるとさまざまな人がそこへ避難してきます。たくさんの人が狭い衛生的とは言えない環境の中で一緒に過ごすのですから、一人がひどい感染症にかかるとあっという間に避難所全体が汚染されてしまうことはご理解いただけると思います。
 平時にそれなりに衛生的な環境であっても学校や職場ではやるのがインフルエンザ。もしかかると、薬の投与と充分な栄養と睡眠が必要なのですが、被災した地域の避難所で、それがきちんと確保できるでしょうか。過去にインフルエンザが流行した避難所では、感染した人を別室に隔離したそうですが、隔離されるとろくな看病もしてもらえず、食べ物やトイレにも事欠く状態になってしまいます。
 インフルエンザについては厚生労働省のホームページ「インフルエンザQ&A」に詳しい説明が載っていますのでここで細かいことは書きませんが、人との接触が避けられない場所である以上、感染しても体の免疫で防げるようにしておくことがとても大切なことになります。
 これから来年春までの間インフルエンザの流行は続くのではないかと思いますし、予防接種したからインフルエンザにかからないというものでもないのですが、自分が感染源にならないためにできる手立ての一つとして予防接種をするようにしてください。
 ちなみにワクチンは接種から4~6週間でもっとも免疫力が増すと言われていますので、今から摂取すると年末には効果がしっかりと出ていることになります。
 何事もないことが一番いいのですが、万が一に備えた準備をしておくことをお勧めします。

水を確保する

 防災グッズについては本当にさまざまなものがあり、何から揃えればいいのか非常に目移りします。ですが、どうしてもこれだけは準備しておいてほしいものを一つあげろと言われると、私は水をあげます。
 他のものは代用品がいろいろとあるのですが、こと水に関して言うと代用品がないのです。ついでに書くと、非常食は基本的に乾燥しているものが多いため、アルファ米のように戻すにしても、乾パンやクラッカーのようにそのまま食べられるものでも、どちらにしても水は必要となります。
 飲用だけではありません。けがをしたときの傷口の洗浄にも、手や顔を洗うのにも、調理、洗濯。掃除など、すべての生活の基礎に水が存在するのですが、この水を作り出そうとすると非常な困難が伴うのです。
 最近は高性能な浄水器がいろいろと登場していますが、マニュアルをよく読んでみると化学物質の濾過はできなかったり、泥水や海水が使えなかったり、いろいろと制限があります。
 水を作るのであれば、浄水器以外にも、濾過器や湯沸かしの蒸気を冷ましたり、夜露や雨を集めたりといろいろとやり方はありますが、どれも非効率的です。
 水道が破損して使えない場合には、井戸を頼るしかありませんが、使っていない井戸だと、水が痛んでいないか、汚染されていないかをしっかりと確認しておく必要があります。
 そんなこんなを考えていくと、結論として水は水のまま確保して保管しておくのが一番早いし手間もかからずコストも安いということがわかりました。
 宅配水のウォーターサーバーを使っているのなら、予備の水タンクを一つ準備しておくとか、2リットルのペットボトル6本組みを準備しておくとか、何らかの形で水を保存しておくといろいろと使えます。
 面倒くさければ水道水をペットボトルに詰めて密封すれば、数日は持たせることができますし、18リットル入りの灯油缶を水専用として準備しておくのもありでしょう。
 水道に関して言えば、被災してもすぐには止まらないことが多いですから、被災したときにいかに水をためておくかを考え、道具を準備しておくことも忘れないようにしたいですね。
 また、機会を作って、普段自分たちが一日にどれ位の水を使っているのかを調べてみるのもいいと思います。節水できるところはするとして、一日に必要な水の量を調べて、それを三日分準備しておけば、とりあえずはなんとかなります。日常生活で仕事や学校などにいるときには、さすがに大量の水を持ち歩くわけにはいかないと思いますが、200mlくらいでもいいので、いざというときに備えた飲用水を準備して持ち歩くようにしたいものです。


 普段どれ位水を使っているのかを知り、準備しておくことは自分の安心にもつながります。機会を作って、是非一度自分や家族の水の使用量と最低限必要な量を調べ、知っておくようにしてくださいね。

津波てんでんこ

 東日本大震災で有名になった言葉に「津波てんでんこ」があります。
 この言葉、定期的に起きる大津波の時の対応を伝承したものかと思いきや、意外に新しく1990年にできたものなのだそうです。
 意味は「津波が来たらてんでばらばらに逃げろ」ということで、自分さえ助かればいいのかという批判的な意見も結構聞くのですが、本来の意味は「津波が来たらまずはそれぞれに自分の命を確保する。親、子、その他気になる人たちもそれぞれに自分の命を確保しているので、心配せずに逃げなさい」という感じになります。
 もう少し詳しく書くと、津波に対する防災対策は究極的には高いところに逃げるしかありません。万里の長城と呼ばれた超巨大な防波堤が、東日本大震災であっけなく壊れてしまったことを覚えている方もいらっしゃるのではないかと思いますが、自然災害、こと津波に関しては防ぎようがないのが現実でいかに早く高台に逃げるかが鍵となります。津波が来るからと言って家族などを迎えに行っていると、全員が津波に飲まれて死んでしまいますから、それぞれがお互いを待つことなく高台へ避難することをルールとして決めておこう、ということなのです。
 こういった決めごとは、いろいろな災害の時に素早く動くためにあらかじめ家族で話し合っておく必要があります。
 表面的な話ではなく、それぞれが自分の命を確保し、状況が落ち着いてからあらかじめ決めておいたやり方に従って合流することを決めることで、無用な心配も無謀なお迎えもしなくてすみます。
 何もないときだからこそ、家族や親しい人同士でいざとなったらどうするか、そして状況が落ち着いたらどんな風に合流するかをしっかりと決め、確認しておきたいものですね。

使い方をわかりやすく伝える工夫を考える

 最近の湯沸かしポットは電気式のポンプで給湯できるようになっているものがほとんどですが、たまに手動でも給湯できるものもあって、災害時には非常に使い勝手のよい道具の一つとなります。
 ただ、手動で給湯できることを知らないと、電源を探して右往左往することになってしまい、しなくてもいい苦労をすることになってしまいます。
実は先日、とある防災研修の中の非常食体験で出会ったのがまさにこのタイプの湯沸かしポットだったのですが、私を含めた参加者はそれに気づかず、湯沸かしポットの電動ポンプのスイッチ部分を押してはお湯が出ないと首をひねっていました。電源コードが外してあったので、「電源はどこだろう」と探していると、スタッフの方が給湯部中央の手動式ポンプを指さして「これを押せばお湯が出ます。電気は不要です」と言われてはじめてその存在に気がつくという出来事がありました。

頼りになる大容量湯沸かしポット。上部の丸部分が手動ポンプ。
手前右側の銀色の部分が電動ポンプのスイッチ。

 要はポットの中央部にある給湯用のポンプに気がつければ何でも無いことだったのですが、お湯の注ぎ口の横にある電動ポンプのスイッチの上にでかでかと「給湯」と書かれているので、そちらに意識が持って行かれていたのが真相です。
 災害時に避難所でこのタイプの湯沸かしポットを使うのであれば、手動ポンプの上に「ここを押す」と書くか、何か給湯ポンプの位置がわかるような工夫をしておく必要があるのかなと思いながら気がついたことが一つ。提供する側は「使える」という前提で提供をするわけですが、使い方がわからない、使い方を知らない人もいるわけで、「わからない」ことを前提にしてそのものの使い方がわかるようにしておかないといけないなということです。
 人間、自分の思ったようにならないものにはストレスを感じるものです。避難所に避難している人にとっては、避難していると言うこと自体がストレスになりますから、ちょっとしたことや小さなことでも、なるべくストレスのかからないような方法を考えておく必要があるなと思います。
 伝える側の伝え方と受け取る側の受け取り方。これらをうまく組み合わせて、少しでもストレスの少ない避難生活をしたいものです。

被災した外国人の強い味方「voiceTra」

 海外から仕事や旅行で日本に来る方は増えているようです。
 ただ、残念ながら日本語がわかる状態で来る人は少ないのが実態で、そういう人たちが被災したときの意思疎通をどのようにすればいいのかという問題があります。命からがら避難所に避難してきたのに、言葉が通じないと避難してきた本人も、受け入れる避難所の人も途方に暮れてしまいます。普段から地域の人たちとあいさつや会話をしている人たちばかりならいいのですが、勤務時間や生活習慣の違いで地域とはほとんど接触のない人もいます。
 そういう人たちとのコミュニケーションツールの一つとして、スマートフォンを使った翻訳アプリ「VoiceTra」があります。
 情報通信研究機構(NICT)が作成したスマートフォン用のアプリで、Android用、iPhone用のどちらも準備されており、アプリ利用料は無料となっています。通信費はかかりますのでそこは了解しておく必要がありますが、およそ30種類の言語に対応しており音声に変換されるもの、文字に変換されるものがあります。災害時に通信環境が使えないと駄目ですが、通信環境が無事、もしくは復旧すれば強い味方になってくれます。
 災害時だけでなく、平常時でもちょっとしたコミュニケーションに使うこともできますので、興味のある人はインストールしてみてもよいかもしれません。なお、ダウンロードやアプリの利用についてはあくまでも自己責任でお願いします。
 ちなみに、東京消防庁はこのアプリをベースにした救急用VoiceTraを現在運用をしています。作成は消防庁消防研究センターだそうです。
 VoiceTraについてのより詳しいことはリンク先(総務省)(情報通信研究機構)をご覧ください。

避難所の掲示物の書き方

 災害時の避難所はさまざまな掲示物でいっぱいになります。
 その結果、テキトーに貼っているとどこに何があるのか、何が最新の情報なのかがさっぱりわからなくなってしまうことがよくありますので、それを防ぐためにはテーマごとに番号やマーク、レイアウトといった規格を揃えておくことが重要になります。
 中の文字サイズや書体は統一された方が読みやすいのですが、見出しの部分を、例えば「交通規制情報」や「生活情報」「ライフラインの復旧状況」「ボランティア支援」といったテーマごとにわかるくくりにしてレイアウトを変えておくことで、何についての情報かがすぐわかることになります。
 また、提供する情報の最初の部分に日付と時間を入れておくと、最新のものかどうかの判断がしやすくなります。
 時間の表示については、24時間表示だとわからない方もいらっしゃいますので、例えば「朝8:30」や「夕方5:15」といった記載、または「7:00AM」や「11:00PM」といった書き方にしておくと誤解を生じなくてすみます。

 避難所では目の悪い方や日本語がわかりにくい方などさまざまな人が来ます。そういった人たちが掲示されているすべての紙を見ることはおそらく無理なので、規格がテーマごとに統一されていればイメージで理解できるのではないかと考えるからです。
 また、行政は確実性を求めるため、書いている日本語はやや難解なことがあります。それをわかりやすくかみ砕いて追記することで、誰が見ても現状がどうなのかを理解できるのではないでしょうか。
 欲しい情報が欲しいときに手に入る状態は、現在ではかなり当たり前になっていますが、非常事態にこそ、情報をわかりやすく提供する必要性があると考えます。
 「やさしい日本語」という考え方も最近ではメジャーになってきつつありますので、興味がある人はリンク先(しまね国際センター)を見て研究してみてください。

不特定のお客さんが出入りする施設の安全対策

 不特定多数の人が出入りする施設で、災害発生時、特に地震発生時に出入りする人たちの安全を施設側が確保することは、正直なところ非常に難しいのではないかと思っています。
 もちろん安全対策をしなくてはなりませんが、かといって何をすればいいのかというと、防災担当者は途方に暮れてしまうのではないでしょうか。建物の安全対策は当然として、施設内部でもものが倒れたりひっくり返ったりしないように固定しておく必要がありますし、できれば高いところにものを置きたくないでしょう。でも、通常の運営においてできるだけデッドスペースを無くしたいというのもありますので、そのバランスが難しいところです。
 それらの安全確保ができたとして、職員さんやお客さんはどうすればいいのか。
 職員さん用にヘルメットが準備されていることはよくあるのですが、とある金融機関ではお客さんの待つスペースの後方にヘルメットがデンと置いてありました。
 「お客様用危険防止ヘルメット」と書かれた紙もありましたので、必ずしも災害対応用だけのために置いてあるわけでもなさそうですが、目に見える場所に使い方のはっきりしている防具が置かれているのは非常に大事なことなのではないかと思いました。得てしてお客さんが多数出入りする施設は見た目重視でいろいろなものが配置されているのですが、こういった実用重視の考え方は、災害対策としては必要なのではないかなと感じます。

積み重ねられたヘルメット。これが必要なときには、この積み方だと危ないのかなと言う気もするが、あるという安心感は手に入る。

 この置き方でいざというときに使えるのかという問題はありますが、それでもお客さんのことを気にしているよというサインにはなるような気がします。最近耳にする「プラスアルファの付加価値」という視点を考えたとき、こういったやりかたもありなのかもなと感じましたので、ご紹介だけさせていただきました。

訓練はうそをつかない

 以前に子どもの絵本を読んでいたとき、東京消防庁の標語の一つとして「訓練はうそをつかない」という言葉があることを知りました。
 そのとき「なるほどな」と思ったのですが、経験していないことや想定していないことをいきなりやれと言われても、なかなかできるものではありません。
でも、さまざまな想定を考えてそれに対処する方法を決め確実にできるための訓練をしていれば、いざというときでも想定したことが起きるだけなので、慌てず粛々と対応をすることが可能です。
 最近はさまざまな単位で防災訓練が行われていますが、お仕着せの訓練ではなく、地域でしっかりとした防災計画を持ち意識を持った防災訓練をおこなっているところは、さまざまな被害が出るとしても人的被害は限りなく0に近い数値になっている気がしています。
 訓練参加者がどこまで真剣に考えているかという問題はありますが、少なくとも参加することで流れを知り覚えることはできます。安全な避難先まで時間がどれ位かかって、途中どんな障害があってどういった対応をすればいいのかといったことは現地を知らなければ考えることはできませんが、訓練に参加することで問題点を理解しやすくなり、対応も考えやすくなります。そして訓練の時にさまざまなことを考えて修正を加えていくことで、災害本番の時の生存確率はどんどん上げることができます。
「訓練はうそをつかない」
 お散歩に出る前に最寄りの避難所を調べ、避難経路を作り、天気のいい日にお散歩の一環として一度歩いてみる。これは立派な避難訓練です。できれば複数の避難所まで歩いて、かかる時間や問題点を知っておくだけでも全然違います。
 一人でも家族でも友人とでも地域でも、簡単なものでよいので防災訓練を習慣化しておくことをお勧めします。