大雨への備えをしておこう

2020年の氾濫危険水位まで上昇した高津川高角橋付近。このあと雨がやんで事なきを得たが、今年はどうなるかわからない。

 令和3年5月15日、中国地方は梅雨入りしました。観測史上、2番目の早さだそうです。
 ちなみに、一番早かったのは1963年5月8日だそうで、その次が2011年5月21日となり、今回の梅雨入りが2番目の早さとなったということでした。
 さて、ここ最近の雨の傾向を見ると、短時間にピンポイントで大雨が降るというのが続いています。
 排水能力を超えて内面越水をしてしまうケースも増えていますので、家の雨どいや側溝の掃除は早めにしておいた方がよさそうです。
 その上で、水没しそうな環境にあるのであれば、土のうや水嚢の準備、そして貴重品の階上への移動は早めにやっておきましょう。
 そして、線上降水帯には要注意です。これが発生すると、局所的な大雨が降り続くことになり、水害の危険性が増してきます。
 避難所だけでなく、安全な宿泊先への移動など早めの避難をするようにしてください。特に高齢者の方や普段の生活に人の支援が必要な方については、災害時に備えて万が一の受け入れ先や受け入れ体制、被災後の生活場所について予め詰めておきましょう。備えて使わなくてすむことを目標にして避難計画を作ることです。人や地域によっては備えることが害悪のようなことを言われる方もいらっしゃいますが、考えたくないから備えないというのはあなたや周囲の人の命を危険にさらす行為です。
 できる範囲でしっかりと備えて、いざというときにも命を守る、命をつなぐ行動ができるようにしておきたいですね。

防災グッズと代用品

代用品作りの一つとして防災クラブでやっているゴミ袋で作る防寒着作成の一コマ。あるのなら普通に合羽の方が確実で安心。あくまでも代用品を知ることが目的の講座。

 防災グッズは防災用のためにだけ準備すると考えると場所をとってしまう厄介者になってしまいます。
 ローリングストックという言葉もありますが、必要なものを少し多めに準備することである程度以上はものを増やさず、生活の質も下げずにすむような災害への備えができると思っています。
 ここでよく聞かれるのが代用品の話ですが、代用品はあくまでも代用品でしかなく、そのために作られた道具と比べるといろいろな意味で不便を生じることになるので注意してください。
 よくあるのが、おむつの作り方。
 おむつがないときにビニール袋とタオルで作るよう書かれているものが多いのですが、避難生活を過ごすときにその代用品で凌ぐとすると、いったいどれ位の材料が必要になるでしょうか。
 タオルは吸水力はそこまで大きくありませんし、ビニール袋は蒸れて子どもの肌がかぶれたりします。汚れたタオルはそのままにしておくと汚臭が出てきますので、その処理についても対応が必要となります。
 本当に緊急時何も無い状態ならともかく、手間や発生する問題を考えると、紙おむつを1週間分くらい余計にストックしておいた方が役に立ちます。
 布おむつ派の人も、災害時には布を洗うことが難しい場合もよくありますから、数日程度凌げるだけの紙おむつを準備しておくようにしておきましょう。
 そして、心配だからといって大量にストックするのも御法度です。
 おむつが必要な年齢の子どもは、あっという間に大きくなりますので使える期間は短いです。そのため、目安としては1週間または普段使っているおむつを一袋多く準備しておくといいと思います。
 サイズアウトしたおむつは、例えば子どもの通っている保育園や子育て支援センターなどで使ってもらえないか聞いてみて下さい。割と喜んでもらってもらえることが多いです。
 そして、引き取り手がなかったからといって捨てる必要はありません。給水部分を何枚か重ねると、大人用の非常用トイレを作ることができます。これも代用品の一つですね。代用品のことは知っておいた方が絶対にいいですし、作り方もマスターしておいたほうがいいです。
 でも、最初から代用品で対応することは考えず、可能な限り普段使っているもので対応できる方法を考えておいてください。
 ちなみに、代用品としてよく出てくるビニール袋は、最近では地球温暖化やエコ問題から災害時に確実に手に入るとは限らない状況になっていますから、必要があれば非常用持ち出し袋に備えておくことをお勧めします。

手洗い、できていますか?

 新型コロナウイルス感染症がなかなか終息しません。終息しないどころか何度目かの蔓延が起きているようです。
 アルコール消毒やマスクの着用、不要不急の外出自粛を続けていても感染が拡大していることには正直驚きを感じています。
 ところで、あなたは石けんでの手洗いはしっかりとできていますか。
一時期アルコール消毒液が不足したときに、石けんによる手洗いが推奨された時期があり、そのおかげでか、去年は普段流行る感染症各種が殆ど見受けられなかったようです。今年に入ってから、「コロナ疲れ」といわれるような状況になって、さまざまな感染症が小さい集団ですが流行始めているようです。
 アルコール消毒はあくまでも簡易的なもので、基本的には流水による石けん洗浄が衛生を確保するための要件なのですが、アルコール消毒液が潤沢に手に入るようになった結果、流水による石けん洗浄を忘れているのではないかという気がするのです。
 被災地で感染症が流行するのは、充分な水が手に入らないことに起因する衛生環境の悪化が原因です。いくらアルコール消毒液があっても、いつもしっかりとした消毒ができるとは限りません。
 石けんでウイルスを浮かせて流水で流す。災害対策から見た衛生管理ではそれが一番確実で効果的な感染症対策です。
 マスク着用やアルコール消毒、不要不急の外出自粛に加えて流水を使った石けん洗浄を忘れないようにしたいですね。
 参考までに、しっかりとした手洗いの方法について紹介されている動画の一つをご紹介しておきます。手洗い方法で悩んだら、一度確認してみてください。

避難訓練の本気度

 避難訓練の支援をさせていただいていると、「他人事」になっているなと感じる人達が殆ど全ての場所で確認できます。
 「かっこ悪いことはしない」という感じで、なぜ訓練をしなければいけないのかを理解いただけていないのかなとも考えますが、他人事になると退屈ですので見物状態やおしゃべりに夢中になってしまい、訓練参加者がシラケてしまうという事態が発生します。他人事になっているのは殆ど100%避難する人ではなく、避難誘導すべき立場の方なのを考えると、本当にこれで大丈夫なのだろうかと不安になります。
 避難訓練をやることが目的になってしまっていて、やる前、やっているとき、やった後の検証作業もせず、かなり適当に実施して終わったことにするような場合もあり、これならいっそやらない方がいいのかもしれないなと思うようなものもあります。
 もっとも、防災担当がいるような会社や組織は殆どなく、たまたま仕事のついでに防災担当をつけられたような人が片手間にやるのであれば、毎回同じマニュアルで訓練をすることも仕方がないのかなと思います。同じ内容であれば、毎回参加する側は考えなくてもいいので非常に楽ですし、参加者の評判もいいわけですから。
 ただ、本番ではマニュアル通りにできることはまずありません。状況を無視してマニュアル通りにしようとするとどうなるのかは、「想定外」という言葉を考えてもらえばわかるのではないでしょうか。
 訓練では、失敗が起きることが大切です。その失敗の解消方法を検討して実行することで、より本番に近い訓練ができ、結果的に本番でも命を守ることができるのではないかと思います。
 また、避難訓練の参加者それぞれが、自分の命をどうやって守るのかを考えながら行う避難訓練であれば、いざ本番でも確実に自分の命を守るべき行動をとることができるようになっていきます。
 せっかく訓練をするのですから、しっかりと考えて避難訓練が本番で生かせるようにしておきたいですね。

避難勧告の廃止と警戒レベル

 今国会で議決された災害対策基本法の改正点については、報道発表の情報などを元にちょくちょく書いてきましたが、令和3年5月20日からいよいよ適用されます。
 ここ最近の災害と対応を検証した結果がいろいろと反映されているのですが、市町村が発令する警戒レベルについて大きな変更があるのでもう一度書いておくことにしました。


 市町村が発令する警戒レベルは、発生している状況に応じてレベル1から5まで区分されています。
 このうち、レベル3以上の記載が変更になっています。
 順番に見ていきましょう。
 まずはレベル3「避難準備・高齢者等避難開始」は「高齢者等避難」という表示になりました。
 正直なところ、これは元のままのほうがよかったのではないかという気もするのですが、住民がやるべきことは変わらずで、高齢者以外の人も避難準備や、可能であれば自主的に避難を開始することになっています。
 次にレベル4。「避難指示(緊急)」と「避難勧告」の二つがこの中に存在していたのですが、今回の改正で「避難指示」にまとめられ、従来の避難勧告のタイミングで発令されることになりました。
 「レベル4の発令=すぐ逃げろ」となったわけです。
 最後にレベル5。「災害発生情報」から「緊急安全確保」に変わり、レベル5ではとにかく身を守る行動をしろという風になりました。
 状況は変わっていないので、要約すると「災害が発生しているからとにかく身を守れ」ということです。
 今までのレベル5では「屋内の安全な場所に避難する」となっていましたが、今回の改正に併せて「屋内または近くの堅牢な建物等の安全な場所に避難する」と修正され、屋内避難にこだわらないようになっています。
 詳細はリンク先の資料をみていただければと思いますが、警戒レベルと行動の内容が全体的に前倒しされています。
 避難した結果、何も起きなかったのならただの笑い話。避難せずに災害に巻き込まれたら、そこで命が終わることも起こり得ますので、今回の警戒レベルの変更についてはしっかりと確認して置いてください。

避難情報に関するガイドラインの改定(令和3年5月10日)(内閣府防災のウェブサイトへ移動します)

新たな避難情報に関するポスター・チラシ(内閣府のウェブサイトへ移動します)

避難所と段ボールベッド

 毎回書いていることではありますが、避難所や避難場所(以下「避難場所」とします。)は避難者をおもてなしするための施設ではありません。
 単なる「場所貸し」ですので、自分が必要と考えるものは自分で準備して持っていく必要があります。
 その中で見落としがちなのが就寝設備。毛布や布団、マットやシート、枕や耳栓など、寝るために必要なさまざまな道具は、避難場所で一夜を過ごすのには絶対に必要なアイテムです。
 避難できた避難場所で獲得したスペースが土足禁止できれいに掃除されている場所であればそこまで気にしなくてもいいのですが、一般的にはゴミやチリ、埃といったものが床に舞っていることが多いものです。
 これはいくら掃除をしても避難者が土足でどたばたすれば必然的に撒き散らすもので仕方ないと言えば仕方が無いのですが、こういったものが舞ったり散ったりしている場所に直接寝ると、鼻や口から吸い込むことになります。
 ゴミやチリ、埃などだけでなく、それらについている雑菌や病原体まで呼吸器に吸い込んでしまうと、肺炎を始めとするさまざまな病気をもらってしまいます。
 対策は、完全土足禁止にした上で、床に直接寝ないこと。ほんの少しでもいいので床から高さを上げて寝ることです。
 そのために必要とされているのが空気マットや段ボールベッドで、寝るのを楽にすることだけが目的ではないことを知っておいてください。
 過去、とある避難所で高齢者の方用に届いた段ボールベッドに何故かボランティアスタッフが寝ているというようなことがありました。
 高齢者の方が床で寝起きしていてベッドは怖いといったことからこうなってしまったようですが、その避難所の床は土足禁止ではなく、床には細かいほこりが舞っているような状態でしたので、呼吸器疾患を招く可能性がありました。そこで高齢者の方とボランティアスタッフの両方に説明して高齢者の方にそこで眠ってもらうようにしました。
 避難する人だけでなく、避難所を運営するスタッフも、なぜ段ボールベッドが必要とされているのかについてしっかり理解していただければなと思います。

災害支援は人が多いところから始まる

 災害後、さまざまな支援が行われますが、その支援体制は被災地全体に均等ではありません。
 支援の効率上、どうしても被災者が多く被害状況のひどい部分から着手されることになり、被災者の少ない地域は後回しになってしまいます。
 特に道路の開削や物資の供給などはどうしても遅れてしまうので、そういった地域の人は一度物資が確実に届く場所の避難所に避難し、開削や物資補給の体制が整ってから改めて住んでいる地域に戻ることになってしまいます。
 そのため、その地域で農畜水産をやっている場合には世話ができなくなって収入が絶たれてしまうという事態になりますので、被災したときにどのようにするのかについてはあらかじめ考えておく必要があります。
 また、救助の手も遅れることが多々あるので、生活備蓄のうち、買わないといけないものについては少し多めに準備しておいたほうが無難です。
 復旧・復興支援についても同様で、ボランティアなどの支援も遅れたり、または来てくれなかったりします。
 できる限り自分で復旧するか、緊急性を要する部分に限定してお手伝いをお願いしたり、地縁、血縁、SNSなどを使ったボランティアのお願いなど、ボランティアが来るのを座して待つのではなく、来てもらえるようにいろいろと働きかける方法を考えておいた方がいいでしょう。
 どちらにしても、災害支援は人が多くて目立つところから始まります。
 そのことを頭に置いた上で、自分の暮らしを復旧・復興するためのBCPを検討するようにしてください。

熱中症対策をしておこう

経口補水液やスポーツドリンクは熱中症対策に重要。でも、飲み過ぎ注意!

 暑くなったり寒くなったり忙しい天気ですが、どうやらだんだん暑くなってきているのは確かなようです。
 寒かったものが徐々に暑くなっていくのであれば、身体が馴化していくので大きな問題にはならないのですが、寒かったところがいきなり暑くなると、身体がついていけなくなります。
 それだけならいいのですが、温度変化に適応できないと熱中症になる危険性があるので注意することが必要です。
 炎天下に日差しの下に長い時間いないことや、水分補給、休憩をきちんととること、そして何よりも無理しないことが大切になってきます。
 ある程度馴化すると、身体が楽になるのですが、それまでは行動するときには時間に余裕を持たせることや睡眠不足を防ぐこと、飲料水を常に持ち歩くこと、そして万が一に備えて経口補水液や冷却剤を用意することを忘れないようにしたいものです。
 体温調整がきかなくなって身体がオーバーヒートしてしまうのが熱中症です。事前の予想である熱中症警戒アラートも以前にご紹介していますので、そちらも参考にして、できる限りの備えを持っておいてくださいね。

線上降水帯に気をつけよう

 ここ最近の水害の傾向として、短時間にピンポイントで大量の雨が降って起きるというのがあります。
 これは線上降水帯が作られることによって特定の地域に次々に大雨をもたらす雲がやってきて雨を降らしていくことで発生しているもので、なかなか予測しづらく被害が大きくなりやすい現象です。
 この線上降水帯は南からの暖かい湿った空気と北からの冷たい空気がぶつかることで空気中の水蒸気が一気に雨となって降り注ぐのですが、雨雲レーダーや天気図を見ると、ちょうどその部分に三角形の形ができているのがわかります。
 雨がひどく降る場合には、この三角形が真っ赤に表示されることから、まるでにんじんのようだということで、にんじん雲と呼ばれることもありますが、このにんじん雲が天気図上や雨雲レーダーで自分の住んでいる地域の上空に確認できたら、急傾斜地や土砂災害警戒区域にお住まいの方はできるだけ早めの避難をお勧めします。
 できるだけ早めに避難して、身の安全を確保すること。
 これから雨のシーズンに入り、場合によっては線上降水帯も発生することがあると思います。
 雨が気になったら、雨雲レーダーや気象衛星の写真などを確認して、なるべく安全を確保するようにしてくださいね。

災害対策は必要なものに気づくかどうか

 災害対策というとさまざまな防災用品を準備して備えておくというイメージが強いかもしれません。
 ですが、殆どのおうちでそれなりの備えができていることにお気づきでしょうか。
 例えば、買い物用のバックやお出かけ用のカバンや袋がないおうちはまずないと思います。
 それから、食料品がまったくないおうちも殆どないと思います。
 ましてや、地方で周囲に商店がないような場所だと、まず間違いなく数日間過ごせるだけの食料備蓄はあると考えて良いでしょう。一人暮らしでも、インスタントラーメンくらいなら一袋くらいはあるのではないでしょうか。
 飲み水も、日本の場合は水道水であれば飲める水が供給されています。
 つまり、水道から取水している水は、基本的に飲用ができると考えて良いと思います。
 例えば、水洗トイレの水タンク、太陽熱給湯器、電気給湯器などは水道が止まっても水を取り出すことで飲料水を確保することが可能です。
 排泄物はどうでしょうか。
 昔ながらのくみ取り式であれば、水害でタンクが砂に埋もれない限りは使用が可能です。浄化槽もタンクが無事で曝気槽を動かすポンプの電源さえ確保できれば使うことは可能です。アパートやマンションの上層階に住んでいたり、下水道の地域では、例えばペットの砂や尿取りパットなどがあればしばらくは何とかなります。
 就寝具では、毛布は大抵のおうちにあると思いますから、その保管場所を覚えておけばいつでも取り出して使えます。
 普段生活しているのですから、非常時のために無理に完璧に備えなくてもある程度の災害対策はしていると考えてください。非常時に使えるものはどんなものがあってどこにしまってあるのか。それを知っておけばいいということです。
 災害発生時に1分1秒を惜しんでの避難が必要な地域にお住まいの場合には非常用持ち出し袋は必須ですが、そうでない場合には、ある程度場所を決めておくことで災害時にすぐ準備することが可能だと思います。
 普段使いのものを災害時にも使うのが、一番効率が良いですし、一番安心できるものですから、非常用持ち出し袋を作らないのであれば、どこになにが納めてあるのかを知ることが大切です。
 災害対策はしていないのではなく気づいていないだけ。
 普段の生活の中で、避難するときにいれる袋やいれるものをイメージし、いつでも持ち出せるようにしておきたいですね。