【活動報告】有害鳥獣対策・その後(~2021.10.23)

 宅地に出没するイノシシ対策として、現在当研究所では2基の檻を有害駆除として管理しています。
 前回捕まえてから、檻に寄ってきてはいるもののなかなか捕まらない日々が続いていましたが、本日施主様から連絡があり、イノシシの子が2頭、罠にかかったという連絡をいただきました。
 監視カメラの画像を確認してみると、早朝に親子で来ていたイノシシの子が2頭のかかったようでした。


 捕まるのは毎回最初から設置している檻なので、何かあるのかもしれませんが、ともあれ置いておくと被害が発生するのは目に見えていますので、処分を行うことにしました。
 実のところ、施主様からの最初のご依頼は「庭にでるイノシシを何とかして欲しい」というものでしたので、ドングリの木の撤去をお願いし撤去されて後はすでに庭にイノシシはでなくなっているのですが、ご近所に被害が出ていることからできるなら捕まえて欲しいとの施主様のご希望で、もうしばらく檻を運用することになりました。
 ただ、イノシシに限らず、檻で有害鳥獣を捕獲しようとすると餌を撒くことになりますから、有害鳥獣はターゲット以外にもたくさん寄ってきます。
 捕まえることで個体数を減らせるのは確かなのですが、他の野生動物の数を増やしても困るので、正直なところ罠の運用は悩むところです。
 ともあれ、周辺で被害が続いているのも確かですので、イノシシに相手にされていない檻は位置を変えながら、もうしばらく様子を見ながらの運用をしていきたいと思っています。

【活動報告】ブルーシート張り研修をしていただきました

 去る10月23日、大田市ボランティアセンター様が開催している住宅の屋根のブルーシート張りについて学習するため所長を含む会員3名でお邪魔して、ブルーシートの張り方について実地で研修させていただきました。
 島根県大田市は2018年4月9日に最大震度5強を記録した島根県西部地震の影響で、今なお屋根の修理ができておらず、ブルーシートを張っている状態の家屋があります。
 今回は過去にブルーシートを張ったお宅で、ブルーシートが破れて壊れた屋根がむき出しになり雨漏りをするということから、改めてブルーシートを敷き直す作業のお手伝い。
 ミーティング、機材準備の後、所長は別件で離脱しましたが、残った会員2名が丁寧に教えていただきながら被災家屋の屋根のブルーシート張りについてしっかりと学習させていただきました。
 使っているブルーシートは#3000なのですが、これ以上重くなると屋根に持って上がることが難しいと言うことで、丈夫さと作業の安全性を考えて選択しているとのこと。同じ#3000でもメーカーによってかなり強度に差があるようで、ものによっては半年持たないというお話を伺うことができました。
 使われているブルーシートは寄贈品も多いそうですが、品質や使用目的が異なるものも送られてきており、そういったものを使う場合には後日張り替えることが前提の作業になってしまうようです。
 屋根に敷くブルーシートについては、寄贈いただくときにメーカーや耐紫外線性能の高いものなど、一度張ると数年は持つような強度のものを指定できれば寄付者も作業者も楽なのにねという話が会員の間では出ていました。
 ほぼ毎週活動をしておられるようなのですが、来られる方が少なく高齢の方が多いことからなかなか作業が進まないようで、今回素人の会員2名が参加したことで非常に作業効率が上がったと喜んでいただいたとのこと。


 少し距離はあるのですが、できる範囲で引き続きお手伝いができるといいなと考えています。
 ブルーシート張り以外にも災害ボランティアは続いているそうですので、関心のある方は、大田市ボランティアセンター様に連絡の上、是非一度ご参加いただければと思います。
 今回、突然のお願いにもかかわらず、快く受け入れてくださった大田市ボランティアセンターのスタッフの皆様に厚くお礼申し上げます。

大田市ボランティアセンター(大田市ボランティアセンターのFacebookへ移動します)

冬の防寒対策を考える

ダウンベストは服の下に着るととても温かい。

 急に寒くなってきましたが、あなたの体調は大丈夫ですか。
 のんびりと構えていた筆者の家では、慌てて冬物を出して衣替えといった感じですが、防寒対策として一つ知っておくといいことがあります。
 それは『空気は最高の断熱材である』という事実です。
 例えば、毛布や布団では、ぺったんこになっているものよりもふわふわのものの方が温かく感じます。
 手触り肌触りがよいということもありますが、ふわふわの部分にしっかりと空気がため込まれていて、それが体温を逃がさないために温かくなるのです。
 防寒対策では、一枚の厚手の服を着込むことを考えてしまいがちですが、間に空気の層がしっかりとできるのであれば、薄手の服を重ねて着るほうが厚手の服一枚よりも温かくなります。
 登山などで体温調整するときの常識になっていますが、薄手の服の脱ぎ着でもずいぶんと暖かさをコントロールできるのです。
 これから冬に入り、非常用持ち出し袋の中身を入れ替えることがあるかもしれませんが、嵩張る厚手の服をたくさん入れなくても、重ね着できる服ならかなり体温調整が可能です。
 寒さ対策を考えるときには、断熱材である空気をいかに上手に使うかに気をつけて、災害時に限らず、快適にお過ごしくださいね。

【お知らせ】ますだすまいる通信に紹介されました

 先日発行された益田市市民活動支援センター様の情報誌『ますだすまいる通信第98号』に当研究所が9月25日に行いました防災マップづくりの記事を掲載していただきました。
 地域での災害対策をするためには、まず地域の状態を知ることから始めなくてはいけません。
 危険想定がわかるハザードマップと実地で現地を歩く防災マップづくりはその地域を知る上で非常に大切なことだと考えていて、もっともっと普及ができたらいいなと考えております。
 今回のますだすまいる通信には、他にも他団体様の防災関係の記事がいろいろと載っていて、防災特集に近い内容だと思っていますので、興味のある方はぜひご一読いただければと思います。
 災害対策は息の長い活動です。いざというときに自分の命が守れるように、そのための準備を、とりあえずは何か一つで良いので取り組んでみませんか。
 当日取材してくださいました益田市市民活動支援センター様、そして防災マップづくりに参加してくれた子ども達に心から感謝します。

ますだすまいる通信第98号(益田市のウェブサイトへ移動します)

段ボールの保管法

何も考えずに置くとこんな感じに置かれることが多い畳んだ段ボール

 防災でよく出てくるアイテムの一つに段ボールがあります。
 保温性・保湿性が高く安価で加工しやすく、場合によってはこれで家が作れたりもする非常に優れたアイテムなのですが、虫がつきやすいという大きな弱点があります。
 段ボールは湿気やすいので、湿度が高いと湿気た段ボールにカビが生え、そのカビを食べるダニがつきます。また、シロアリやチャタテムシ、ゴキブリなども保温性・保湿性が高いことから居心地が良い場所らしく、段ボールの隙間などに潜んでいることも多いです。
 そのため、段ボールでできている資材を保管する場合には気をつけないと、出したした途端にぜんそくの悪化や虫の拡散といった阿鼻叫喚図が起きてしまいます。
 段ボールは使い終わったら資源として回収してもらってその都度新しいものを準備する方がいいのですが、段ボールベッドなどの特殊なものはある程度事前に保管しておかないとすぐに使えず困ったことになってしまます。
 そこで、保管法について少しだけ考えてみたいと思います。

1.できるだけ屋内には置かない

 人の住んでいる屋内に段ボールを保管すると、人の垢や汗、つばなどが段ボールについてカビが生え、ダニのえさとなります。
 また、ゴキブリなども好んですみかにしますので、できるだけ人の住んでいる屋内には置かないようにします。


2.保管は乾燥している場所で

 湿度が50%以上になると、カビやダニ、シロアリ、チャタテムシやゴキブリのすみかになります。
 段ボールを取り扱っている業者では湿度管理を徹底しているそうですが、カビやダニ、虫の生息しにくい乾燥した環境で保管しておくことをお勧めします。少なくとも、地面に直置きするよりは棚の上や屋根に近い方に置く方が湿気は少なくなりますので、そういう場所を選ぶようにしてください。

3.できるだけ外気に触れないようにする

 密封できるビニール袋や湿度調整できるコンテナなど、そもそも虫がつかないように外気に触れないように保管すると安心です。
 例えば、布団圧縮袋などはこの条件に当てはまっています。ただし、内部を減圧すると段ボールが潰れてしまいますので注意してください。

 いずれにしても、段ボールそのものは長期保存を前提として作られているものではありません。
 もしも段ボールベッドなどを保管するときには、上記のことに気をつけて保管するようにしてくださいね。

時間雨量50mm

 大雨に関する防災研修会を開催したときに参加者にお見せする映像の中に時間雨量50mmの降り方というのがあります。
 見た目はたいしたことがないように見えるのですが、雨中にいるとかなりひどい降りで大声を出さないと会話ができないくらいの雨音がしています。
 研修会に参加された方は「ほぅ」といった感じで見てくださるのですが、当研究所に限らず、さまざまなところで開催している大雨の防災研修会や講演会では、この時間雨量50mmが一つのキーワードになっています。
 というのも、実は時間雨量50mmというのが一つの基準のようになっているからです。
 大雨による氾濫では、川から人の生活空間に水が流れ込んでくる河川氾濫と、河川などへの排水ができなくなることによって側溝などから水があふれて発生する内水氾濫があります。
 特に時間雨量50mmを超えると側溝などの排水能力を超えてしまうことが多く、内水氾濫が起きやすくなります。
 そのため、時間雨量50mmが一つの目安になっているのです。
 気象庁のデータによると、時間雨量50mmを超える降雨は増加しているそうなので、低地や土砂災害特別警戒区域、土砂災害警戒区域にお住まいの方は雨の降り方には注意をしておいたほうがよさそうです。

全国アメダス1時間降水量50mm以上の年間発生回数(気象庁のウェブサイトへ移動します)

火山登山と監視体制

大平山から見た男三瓶山

 最近火山活動が活発化しています。
 福徳岡の場や西の島、硫黄島などでかなり活発に造山活動が起きていますし、本日2021年10月20日午前11時43分には阿蘇山で大きな噴火がありました。
 登山していた方に被害はないとの報道もありますが、大きな被害が起きないことを願っています。
 ところで、日本は火山大国なのをご存じだと思いますが、火山だと言われている山がどれくらいあるかご存じですか。
 気象庁によると、現在日本にある火山活動をする可能性のある山、いわゆる活火山は111峰。
 中国地方では三瓶山と山口県の阿武火山群が指定されています。
 この中で、噴火が起きるかもしれないということで常時監視対象になっている山は50峰。
 こちらには三瓶山も阿武火山群も対象に入っていません。

阿武火山群の笠山


 本来は活火山は全て対象にすべきなのでしょうが、観測するための予算も火山学者も足りないことから地元自治体及びその火山のある管区気象台がリモートで監視しています。
 ただ、観測して予兆があっても、それが噴火の予兆なのかどうかという判断は難しく、正確な噴火予知ができていない現状があります。
 その結果起きたのが2014年の御嶽山噴火での登山者の犠牲ですが、そういった災害が起きても状況はあまり変わらず、現在に至っています。
 ちなみに、三瓶山や阿武火山群では、何か異常が起きると観測機材を持ってきて監視を始めるという体制になっていますが、実際にしっかりとした観測体制を取ることが可能かどうかはその時になってみないとわからないと思います。
 今回の阿蘇山の噴火では警戒レベル1で噴火が起きました。御嶽山の噴火でも噴火直前の警戒レベルは1。
 ただ、事前に火山性地震は観測されていますので、こういった山を登山するときには、噴火警戒情報だけに頼るのではなく、そこで何が起きているのかを調べた上で出かけることが重要だと思います。

避難訓練は観察者を置いてみよう

 避難訓練では、その施設の人が全員参加して行動することが大切だと思われていますが、実はそうではありません。
 全員が参加してしまうと、その避難訓練を客観的に評価できる人がいなくなり、その避難訓練のよかったところや悪かったところが客観的に判断できず、結局「無事に終わりました」という月並みな結果になってしまいます。
 避難訓練に直接参加せず、側から訓練の様子を見て評価する人がいると、避難訓練のいいところ悪いところが冷静に見えて次の訓練に反映することができます。
 当研究所でもそういった支援はしていますし結果報告書も作成していますが、無理に外部から観察者を入れなくても自分のところで誰かにその役をしてもらうことで、充分に役に立ちます。
 その時の視点は「本当にそれでいいのか?」「なぜそうなったのか?」「自分だったらどう動くだろうか?」というもの。
 例えば、避難訓練中に本当にけが人が出たとします。全員が訓練参加者になってしまうと、その記録は「怪我に対応した」で終わってしまいますが、観察者はそれだけではなく、「その怪我が起きた原因はなにか?」「本番でも発生する可能性はあるか?」「本番で起きたらどうすればその人の命が守れるか」といった視点で報告をしてもらうのです。
 それから、観察者がいると参加者は手が抜けません。特に管理職が観察者になっている場合、参加者は非常に真面目に取り組むことが多いですから、管理職の方には「自分がおらず、連絡もつかない」という想定にしてぜひ観察者になってほしいと思います。
 かつて、とある学校でその学校の避難訓練の見物をする機会がありました。その訓練では、学校から屋外の安全な場所へ避難するという訓練内容だったのですが、屋外への避難中、生徒の一人が溝に落ちて怪我をする事故を目撃してしまいました。
 どういう立場なのかはわかりませんが、近くで世間話をしながらそれを見ていた数名の教員は生徒に「保健室に行きなさい」の一言で特に何をするでもなし。
 見ていたこちらは「団子になって駆け足で避難行動していたため足下が見えなかった」ことや「溝蓋に隙間があって、そこに足が落ちてしまった」こと、「本番時に保健室が機能しているのか?」などさまざまな問題点や疑問点が出てきたのですが、それを指摘したところ、「溝蓋の管理はうちじゃない」や「怪我した人が悪い」「あんたに言われる筋合いはない」といった回答をいただきました。
 もしこれを見ていたのが筆者では無く、その学校の校長や教頭、もしくは教育委員会や保護者などであればこの教員達の反応は確実に変わったと思います。
 学校に限らず、組織として避難訓練するのであれば管理職が自分の目で見て何が問題なのかを洗い出したほうが効率がいいですから、訓練をする際には担当者に丸投げせず、ぜひ管理職の方が率先して観察者になっていただきたいと思います。
 客観的に見る目ができ、その意見が反映できるようになると、訓練の効率や効果は非常に高くなりますので、有意義な避難訓練がしっかりとできると思います。
 なぜか今の時期はさまざまな場所で避難訓練を行っています。余談になりますが、そういった過去の経緯から、当研究所では訓練計画の立案や実行だけでなく訓練観察の視点や訓練の改善点を考えるといった支援も行っていますので、興味のある方は一度ご相談いただければと思います。

避難訓練の意味

 一口に避難訓練と言ってもピンからキリまであります。
 日程と訓練の流れを作ってやったことにするところも居れば、避難訓練をやる週くらいは教えても、あとは全て抜き打ちで対応させるところまで千差万別。
 毎回同じ状況設定のところもあれば、毎回異なる状況設定でやるところもあります。
 これは訓練計画者の問題と言うよりも、その訓練を行うところの問題だと考えてください。
 よくある話ですが、何らかの施設で避難訓練をしたときにトラブルが起きると「なぜトラブルが出るような訓練をさせるのか」と騒ぎ出す人が必ずいます。
 本来避難訓練というのはトラブルが出て当たり前。出ない訓練はやる意味が無いくらいのものなのですが、そういう人は計画に従って完璧にこなすのがよい訓練だと考えていますので、ものすごい勢いで文句を言われます。
 本番環境では、どんなトラブルが起きるかわかりません。どんなトラブルが起きてもいいように、訓練では起こりうるであろうさまざまな想定を組み込んで実施した方がよいのですが、時間や手間、反対者との調整などでなかなかうまくいかないというのが実情でしょう。
 結局のところ、避難訓練がなぜ必要なのかが理解されないと、避難訓練の意味はあまりないなと感じています。もちろんやらないよりはやったほうが絶対にいいですから、どんな状態であれ避難訓練はきちんと行うべきなのですが、せっかくやるのであれば、予定調和では無く、いくつかのトラブルも組み込んでおくと、より実践的な訓練になるのではないかと思っています。
 最初は参加してもらう、それだけでも大切なことです。
 最終的には、参加者が自分の判断でより安全確実に自分の命を守れるようになることが目的ですから、もしあなたが避難計画者になったら、ちょっとだけ何かを仕込んでみると面白いのではないかなと思います。

防災工事の勘違い

 公共工事で行われる、例えば急傾斜対策工事や地すべり対策工事、砂防工事や防波堤、堰堤などを作る防災工事は、その工事を行うことにより周囲の被害を防ぐことができるようなイメージがあります。
 このイメージは完全な間違いというわけではないのですが、これらの工事も想定される雨量や水量といったものを前提に設計・施行されているため、その想定を超える雨や水量が出れば当然被害が発生します。
 「工事の施工完了=100%災害が起きない」というわけではないのです。
 もちろん工事をしていないよりはしてある方が災害が発生する確率は格段に下がりますから、やれればやったほうがいいのですが、やってあるから絶対に大丈夫とは考えないでください。
 どちらかというと、これらの施設はあなたが逃げる時間を作り出していると考えた方が正解です。
 土砂災害が起きる予兆を感じたら、まずはそこから逃げること。
 仮に施設が破損したとしても、あなたが逃げて命が守れたのであればその施設はきちんと目的を果たしていることになるのです。
 防災工事をしたから災害が起きないという勘違いはしないでください。
 あくまでも逃げる時間を稼ぐための施設と考えて、しっかりと情報を集め、早めに避難するようにしてくださいね。