多目的ってなんだろう

 最近あちこちで目にする「多目的」な設備。
 有名なところでは「多目的トイレ」があります。
 本来は障害のある方も障害のない方も、男性も女性も誰でも使えるトイレという意味なのですが、多目的の意味をはき違えている人もいていろいろと困ったことが起きたりもしています。
 それはともかく、災害が起きて避難所が設置されると、やたらと多目的を主張する設備が増えてくるのが困りものです。
 食堂兼交流スペースくらいなら全然問題ないのですが、よくあるのが、授乳室とおむつ交換室、それに更衣室が兼ねられているもの。
 時間がかかるものがセットにされていると、いつでも何かで使用中になって、他の目的で使いたい人が困ることになってしまいます。
 優先順位をつけるといっても、授乳とおむつ交換と着替えの優先順位をどうやってつければいいのか、また、優先する事態で待っている場合には入っている人を追い出すのかなど、多目的であるか故の問題が発生するのです。

パーテーションで仕切ってでも単独機能の方が使いやすい

 利用目的のはっきりしているものや利用者が多いものは多目的にするべきではありません。
 目的ごとに部屋を仕切って、その目的のみに利用すること。
 そうすることで、同じ目的の利用者が複数同時に使えたり、違う目的の人から文句が出たりすることもありません。
 多目的で問題ないのはトイレだけ。
 避難所の設計時にこのことを頭の中においておくとよいと思います。

【活動報告】高津小学校防災クラブを開催しました

 去る12月1日、益田市立高津小学校で第7回の防災クラブを開催しました。
 今回のテーマは「防寒着を作る」。
 大きなビニール袋と新聞紙を組み合わせると、保温機能が高まって身体の熱を保てるという説明をし、続いて大きなビニール袋を使って簡易防寒着を参加者の皆さんに作ってもらいました。
 ビニール袋とはさみの相性が悪かったらしく、うまく切れない人が続出し、びりびりに破けてしまったビニール袋を養生テープで補修し、また破けてしまいと、かなり混乱した状況になってしまいました。


 中には新聞紙でかぶとを折ったり、覆面を作る子も現れてと、いつもの工作風景が展開されたのですが、去年と異なり、今年は割とスタンダートな防寒着が揃いました。
 空気を保存する新聞紙と外部の冷たい空気を遮断するビニール袋。これをうまく組み合わせることで体温を保持することができるのですが、今回参加してくれた子ども達にうまく伝わったかどうかは、ちょっと疑問が残るクラブ活動となりました。
 もう少し上手に内容を伝えられるようにならないといけないと反省する回でした。
 いつも賑やかに活動してくれるクラブの子ども達、そしていつもお世話になっている担当の先生に感謝します。

避難所は健常者しか避難できない

 大規模災害が長期化すると、避難のための場所が生活のための場所に変わります。
 そういった避難所でよく観察してみると、避難している方がほぼ健常者だということに気付くと思います。
 妊産婦や赤ちゃん連れ、身体やこころに病気を持っている人を見かけることはほとんどないと思います。
 避難所で過ごす人達は、災害前の生活と比すと自分の思ったようにならないことから大なれ小なれこころに不満や不安を持っています。
 それが自分の常識の外の事態に出会うと、その対象者に対して言葉や物理的な暴力が振るわれ、危険を感じた人は避難所から退去することになります。
 例えば、乳児は泣くことでしか自分の意思を伝えることができません。おなかが空いたり、おむつが濡れているだけでなく、不安を感じたときにも大声で泣くのです。
 その泣き声は、普段鳴き声に接することのない人の耳にはものすごく耳障りに聞こえ、なかでも不満や不安を押し殺しているような人にとっては格好の攻撃材料になってしまいます。そしてそれが続くと、乳児を持つ親は危険を感じて退去することになり、それが続く結果、避難所は健常者だけになってしまうのです。
 同じ事が障害をもつ方にも言えます。結果として、本来は避難が必要な人が避難所を追い出され、避難しなくても生活できる人が避難所を占拠するという困った状態になるのです。
 現在避難レベル3で高齢者や障害者、乳幼児などを持つ親は避難するようになっていますが、そういった人達は避難準備を始めてから避難ができるようになるまでに時間がかかります。
 そして避難所に避難したときには健常者で溢れていて入れないということもよく起きます。
 そのため現在福祉避難所を避難所開設と同時に設置して支援が必要な避難者を専門に受け入れるような整備が進められているのです。
 地方自治体の中には、この福祉避難所の設置が地域に混乱をもたらすと消極的だと聞きますが、役割をしっかりと決めて説明しておくことで、無用な混乱が起きることは防げると思うのですが、あなたはどう考えますか?

やってみないとわからない

 「訓練しなくても理解しています」といわれる方がそれなりにいます。
 話を伺うと、確かに回答は具体的ですし、マニュアルは頭にきちんと入っています。
 面白いのは、そういった人に訓練の一コマをやってみてもらうと首をひねるが多いこと。
 「こんなはずでは・・・」と言われることが非常に多いです。
 例えば、消火器の使い方で見てみます。
消火器は、
1.上部の安全ピンを外す
2.ホースを火元へ向ける
3.放射レバーを押し込む
 これで消火器は仕事をしてくれます。
 でも、実際にやってみてもらうと、この手順に入る前に消火器の重さに驚く人がいます。
 他にも消火器を抱えて運ぶときに落としてみたり、消火器の操作をど忘れしてしまう人、ホースの押さえる場所を間違えて見当違いの方向に薬剤を散布する人など、頭で理解していても実際に動いてみるとずいぶん違うのです。
 訓練は、意識しなくても身体が動くように動作をたたき込むことが目的ですが、理解していてもそれだけでは行動はできません。
 何事もやってみないとわからないのです。
 例えば、とある場所の避難所設営訓練で妊婦さん用に用意された休憩用テントの入口が狭く、かがまないと中に入れませんでした。
 実は妊婦さんはかがむのが難しいのですが、男性だけでなく、妊娠・出産を経験した人でさえもそのことに気付いていなかったのですが、たまたま訓練に参加していた妊婦さんがそれを指摘し、その後立ったまま中に入れるテントに変更したということがありました。
 これらも、実際にやって該当する人が実際に体験したからこそわかった問題です。
 頭の中や図上で考えてみることには限界があります。
 組み立てて設計をしたら、実際に訓練をやってみること。それにより、本番のときに必要なものを確実に使うことができるのではないかと思います。

冬の感染症対策

 厚生労働省のデータを見ていくと、2020年度の冬はインフルエンザの発生状況がほぼなかったに等しいくらい少なかったそうです。
 これは新型コロナウイルス感染症対策として、多くの人が手洗いやマスクの着用、人との接触を極力避けるなどした結果で、多くの感染症の発生が激減しているところからみると、どの感染症であれ、対策は同じということなのでしょう。
 アルコール消毒はどこでも見かける普通の光景になりましたが、石けんを使ってしっかりと手を洗うことや、マスクの着用、体調不良時の早めの休息などが習慣化すると、感染症にかかる人は今年も少ないのかもしれません。
 ただ、最近ではアルコール消毒があればそれでいいような風潮もあり、新型コロナウイルス感染症の騒動も一応終息しつつあることから考えると、どうかするとインフルエンザが大流行などということになるのかもしれません。
 この手の話を書くと、いろいろとややこしいことを言い出す人が出てくるのですが、必要なのは感情論でも出所不明で検証不可の情報でもなく、客観的で誰でも確認できる公開情報からみた知見です。
 インフルエンザが流行しなかったことと手洗いとマスク着用の因果関係は新型コロナウイルス感染症が流行る前から比較的しっかりと検証されていることです。

この冬がどうなるのかはわかりませんが、少なくとも手洗いとマスクについては、引き続ききちんと続けておいたほうがよさそうです。

インフルエンザの発生状況(厚生労働省のウェブサイトへ移動します)

停電とライフライン

 先日、当研究所のある地区の一部で停電があったそうです。
 幸い当研究所では影響はなかったのですが、電気が止まってしまうと、現在の私たちの生活は非常に困ったことがたくさん発生します。
 例えば、オール電化のおうちだと、大型の蓄電池が設置されてでもいない限り、家の中のライフラインは水以外止まってしまいます。
 田舎などではまだまだ多くのご家庭が使っているガスも、ガスコンロは使えますが、ガスボイラーは電源が必要なため使うことができません。
 また、火災の危険性や手軽さから暖房器具を電化製品に頼っているおうちも多いと思いますが、これから寒くなる時期に停電になると、当たり前ですが電気を使う暖房器具は一切使えなくなります。例えば、普通の灯油ストーブなら使えますが、灯油ファンヒーターは電源が使えないので駄目だということ。
 こんな状態になったとき、あなたはどうやって暖を取りますか。
 寒くて暗い状態は、人間の精神にも身体にも良い影響は与えません。
 布団に湯たんぽを入れたり、使い捨てカイロなどで身体を冷やさないようにすることが大切です。気をつけたいのは、身体が冷え切ってしまうとどれもあまり効果がないということ。身体が冷え切る前に、温めるための手を打って下さい。
 ちなみに、湯たんぽは専用の道具がなくても、瓶やペットボトルで代用できます。温かいものを入れても大丈夫であることと、密閉性があることが前提条件になりますので、使う前にはしっかりと確認しておいてください。
 私たちの生活で非常に重要な位置を占めている電気。
 できる限り停電にならないように電力会社の方々は日々頑張ってくれてはいますが、万が一停電になった場合に備えて、身体を冷やさなくても済む方法を準備しておきたいですね。
 最後に、停電したからといって、屋内で炭や発電機の使用はは絶対に止めてください。現在の家は非常に密閉性が高いので、炭の燃焼や発動機の排気ガスに含まれる一酸化炭素で死んでしまいます。

災害の真偽

ここ2年ほど、高津川では避難レベル4が発表されていて、その回数が少しずつ増えている。

 夏に近くの川で避難レベル4「避難指示」が発令されているにもかかわらず、なぜか川を確認しに行ってしまうような行動を取ってはいませんか。
 これを書いている筆者もそうなのですが、川の堤防まで出かけると、同じような人がたくさん川を見ていて、それぞれにどうしたものかという表情で川を眺めています。
 防災活動をしている人間としては、避難レベル4で速やかに避難しないといけないことは頭ではわかっているのですが、自分でもなぜすぐに避難せずに状況を確認しに川を見に行くのかがよくわかりませんでした。
 ただ、これはどうやら情報の真偽を確認しようとする人間の習性のようです。
 地震のように、災害発生時に明らかに身体や周辺に影響を及ぼすようなものであればともかく、大雨や洪水、津波といった災害の場合には、即座に目で見てわかるものではありません。
 そこで、大雨であれば窓の外の様子、洪水であれば近くの川の様子など、発表されている災害情報の真偽を確認しようとしてしまうのだそうです。
 災害発生が予測される情報の出所が行政機関からの直接のものであったとしても、SNSで流れてきた出所不明の情報にしても、恐らくこの行動は変わらないのだろうなと思います。
 悪い情報に関しては、自分の目で見るまで信用しないという人は多いようです。
 とはいえ、あいにくと現場を見に行くことが危険だと頭では理解している筆者自身も毎回同じように川を見に行くという行動を取っていますから、やっぱり確認にいって災害に巻き込まれる危険よりも、実際にどうなっているのかを確認したいという気持ちが優先しているのだと思います。
 ただ、自分の目で確認できたときには避難が困難になっていたり、確認できたときには災害に巻き込まれていたりすることもありますので、人間の習性とは言え何とかしたほうがいいような気がするのですが、あなたはどう考えますか。

車と道路の冬支度

 山頂のほうでは雪が観測されるようになり、山沿いの道ではみぞれも降ったりしてきていますが、車の冬支度はお済みですか。
 夏タイヤをスタッドレスタイヤに履き替えることや、ウォッシャー液の濃度を変更するといった機械的な作業に加えて、冬場に山越えをする方については念のためのタイヤチェーンの確認と、不幸にして動けなくなった場合の生存対策、例えば毛布やカイロ、水や非常食などもしておいてくださいね。
 ところで、道路の冬支度も進んでいますから、冬期通行止めの路線の閉鎖が進み、冬季限定の道路カメラの運用も始まって道路の降雪、凍結の有無などをインターネットで見ることができるようになりました。
 お出かけの際にはそういった情報もしっかりと取得して、状況に応じてさまざまな準備を進めておいてくださいね。
 ところで、冬場に急カーブの続く場所や凍りやすいところ、傾斜の厳しい場所などでは冬タイヤ規制が行われますが、いくつかの条件が揃うとタイヤチェーンを装着していない車は走行ができないチェーン規制区間も存在しています。

タイヤチェーン規制の表示。この看板が出ると、タイヤチェーンの装着が必須となる。


 近くでは浜田道の「大朝IC~旭IC」間。それから国道54号線の赤名峠も対象になっていますから、そういった道路を利用する人はきちんと備えておくとともに、万一の通行止めに備えて一般道の確認もしておくといいと思います。
 それから、タイヤチェーンは持っているだけでは駄目ですから、チェーンの点検もかねてシーズン前に装着の練習もしておくようにしてください。
 いざというときに困らないように、しっかりと準備しておきましょう。

島根県道路カメラ情報(島根県のウェブサイトへ移動します)

トイレットペーパーの誤解

 災害時に使用する仮設トイレでは、トイレットペーパーは便器に流さずに別に用意されたゴミ袋にいれるようになっている場合があります。
 猫砂や吸水材を使った非常用のものならともかく、それなりにしっかりしているように見える仮設トイレにそのような取扱があるというのは納得いかない方も多いようなのですが、これはトイレットペーパーに対する誤解があるからなのかなと感じています。
 実は、トイレットペーパーは水に溶けてなくなるわけではありません。
 試しに、トイレットペーパーをちぎって平たい皿の上で水をかけ、指でかき混ぜてみてください。
 トイレットペーパーの原型はなくなっても、かき混ぜている指には紙だったものが絡みついてくると思います。
 トイレットペーパーに使っている紙は、繊維が水でほどけやすいようにして作ってあるため、水で溶けているようにみえているだけなのです。
 つまり、充分な水量が確保できなければほどけきらずに塊が残り、それが続くと塊のかたまりができて詰まってしまう事態になります。
 また、拭くときにはちぎったままではなく、ある程度厚さのある塊にして使うと思うのですが、塊になれば水の中でほどけにくくなりますから、ちぎったままの状態に比べると詰まりやすくなってしまうのです。
 もちろんティッシュペーパーに比べれば格段に水に流れやすいのですが、災害時、すぐに修理ができないような状況で、流せる水に限度のある仮設トイレとなると、万が一を考えると紙を流さずにゴミとして処分する選択をしなければならないのです。
 災害時、生命線とも言えるトイレを守るためにも、トイレの水が確保できるまでは指示に従い、トイレットペーパーは便器に流さないようにしてください。

充電器を持って歩く

 充電器、といっても大型のものではなく、ここでは携帯電話やスマートフォンに充電できるだけの容量のある、持ち歩きのできる充電池のことです。
 普段から使い慣れているアイテムは、災害時でも当然活用されるのですが、その中でも携帯電話やスマートフォンは情報収集や情報交換、暇つぶしにと大活躍します。
 ただ、案外と見落とされがちなのは電池の消耗。当たり前のことですが、使えば使うほど電池は消耗しますが、避難所では充電できる設備はないと思ってください。
 一時避難所にあるコンセントで、たまに自分のスマートフォンを充電している人がいますが、その行為は盗電ですのであまりひどいようだとその施設から追い出されたり、場合によっては逮捕されてしまうこともありえます。
 充電池を持っておくことで、少なくとも1回~2回は携帯電話やスマートフォンの充電ができるはずですから、そちらで対応するようにしましょう。
 携帯電話やスマートフォンの電池の問題は結構切実で、ちょっとした災害時でも避難所の電源が充電器で埋まっているような状態になります。
 携帯電話の会社が開設する臨時充電施設が設置されても、充電時間は15分~1時間程度しかもらえませんが、充電池を充電するためのソーラーパネルなどを持っていれば、電源の問題を自己解決できます。
 多くの人の生活から切っても切り離せない携帯電話やスマートフォン。災害発生時に電池の消耗を防ぐことはもちろん、自力で電源を維持できるようにしておきたいですね。